第32話楽譜が僕の家に届きました 瞳と里香の思い

本田瞳です。

次期指揮者の榊原先生から、コンサートの楽譜(モーツアルトのフィガロの結婚、ピアノ協奏曲第26番、ブラームスの交響曲第2番)が届きました。

(僕の家にでした、学校に送ればいいのに)

(おそらく、音楽以外は大雑把な人なので、住所がわかっている僕の家に送った)

(ただ、それだけと思う)


その楽譜を学校の音楽部に運び、早速パート練習が始まりました。

ただ、僕は、ピアノ協奏曲のソリストが決まるまで、ソリストの代役。

トランペットとピアノの掛け持ちは、困難なので、ピアノ協奏曲では、トランペットを吹かないことになりました。

(なんか、寂しいような気がしました)

(里香先輩の隣で、吹きたかったから)


翔太先輩(当面の学生練習指揮者)に「フィガロの結婚はどうする?」と聞かれたので「吹きたいです」とキッパリ。

(そんなに難しい曲ではないですし、里香先輩から離れたくないから)


「ブラームスの二番交響曲」はしっかり吹きます。

トランペットは、かっこいいし、高らかに鳴らしたい。

(里香先輩に、魅せたいのが、本音です)



坂田里香です。

瞳君は、かなりキツそうです。

やはり、ピアノとトランペットの掛け持ちは、疲れるようです。

(口には出しませんが、案外、我慢強い子なので)


ピアノは、やはり上手です。

タッチも、リズムも、情感も完璧です。

さすが音大推薦の人は違うなあと思うし、ソリストを呼ぶ必要がないと思うほど、

いい感じです。

(それは、音楽部全員の意見が一致しています)

(余分なお金を使いたくないような、その意図もあります)

(でも、瞳君には負担になるので、言い出せません)


練習を終えて帰り道、瞳君に聞きました。

「大丈夫?疲れていない?」


瞳君は、首を横に振ります。

「里香先輩がいるから、頑張ります」

(・・・泣きそう・・・この子大好き)

(ずっと、いつまでも支えたいよ、この子)


だから、思い切り、ムニュ(ご想像にお任せします)します。

(瞳君、途端に元気になります)

(少し慌てる顏も可愛い)

美佳先生が見ていても、平気です。

(美佳先生は、手を打って笑いますし)

(母の前ではしません、母も同じことをしたがるので)


あ・・・母から聞きました。

瞳君を彫刻モデルにと。(上半身裸ですよ)


何か、嫌だなあ。

瞳君の裸は、独占したい。(本音です、他の誰にも見せたくない)

去年までの私がモデルの彫刻は・・・恥ずかしい。(胸が小さな頃)

(上半身は裸、顏はヴィーナスに変えてある)


でも、瞳君なら、見せられるかな。

(モデルが私と言わなければ、わからないし)

(もし・・・母が、モデルを私と言ってしまったら?)

(瞳君を猛烈ムニュして、ゴマカシます)


そんなことを思っていたら、瞳君の家が見えて来ました。

美佳先生(瞳君ママ)が手を振っています。

「お二人さん、特訓するよ!」


私も手を振って返事です。

「はーい!がんばります!」

(瞳君は、ちょっと腰が引けていますが)

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