第25話僕(瞳)は、里香先輩の家に②

里香先輩のお母様(慶子さん)は上機嫌だ。

「瞳君をモデルにしたいなあ」

「天使像作りたいの、どうかな」

(里香先輩は、プッと吹いている)


僕は、ドギマギした。

「貧弱な身体ですよ、見せられません」

(事実、偏食は否定できない)

(実は、お米が苦手です)


慶子さん

「まだまだ成長期」

「お米と」(う・・・やばい)

「お肉を食べて」(せいぜいハンバーグ、固い肉は苦手)

「・・・あと3キロは太ろうね」(モデルとして見ている・・・今の時点で)


ピアノも弾いた。(ご希望だったから)

ショパンを中心にした。

バラードを4曲弾いた。

最初は、少し緊張したけれど、途中から気分が乗った。

(思う通りに弾けた)


慶子さんは、驚いた顔。

「すごく深いショパン・・・いいなあ・・・」

「音大に推薦されているって、ここまでの腕とは」

「音楽部にいる必要ないよ」

「ピアノに集中したほうが・・・」

(でも、そうなると里香先輩と一緒できなくなる、それは困る)


里香先輩は、真っ赤な顏で、胸を抑えて聞いていた。

(慶子お母様の前で、僕がヘマするのが、心配だったのかな)


帰り際に、慶子お母様から、お土産に、女の子の天使のキーホルダーをもらった。

「これね、里香の子供の頃がモデルなの」

(だから、可愛いのか)

(里香先輩は余裕の笑顔だ)


「美佳お母さんによろしくね」


「はい、ありがとうございました」

(僕は、そのまま、慶子お母様にハグされた)

(里香先輩は、焦り顔)

(僕は、どうにもならなかった)


里香先輩と一緒にエレベーターを降りた。

(エレベーターの中で、自然に手をつないでいた)


エレベーターを出て高層マンションのエントランス。


「ねえ、瞳君」


「はい、ありがとうございました」


いきなり里香先輩に抱きつかれた。

「いなくならないで」

(うれしい・・・と言うより、心臓がバクバク)

(里香先輩の心臓のドキドキも、胸に感じた)


「僕は、里香先輩がいるから音楽部に入りました」

「里香先輩が大好きです」


「ほんと?」

「可愛い子多いよ」


「里香さんが、一番きれいです」

「他の人は、どうでもいい」


里香先輩は、ギュッと抱いて来た。

(やわらかな胸のふくらみを、感じた)


僕は・・・そっと、抱いた。(まだ、年下で恥ずかしかった)

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