第19話私沢村美由紀と瞳君との初デートはぎこちない

私、沢村美由紀は、必死でした。

とにかく今、何とかしないと、瞳君は里香先輩に取られちゃうから。

里香先輩は、やさしいし、賢いし、私より美人、それは認めます。

でも、私も、瞳君が好きなんです。(幼稚園の頃から)

ようやく、仲直りして、今がチャンスなんです。

だから、無理やり銀座の楽器店への「ご一緒デート」を頼みました。

(事前に言えば、失敗の不安もあったから、朝突然、押し掛けました)

(お母様は、美佳先生、もう音楽部では大恩人です、あの石川孝雄を追い出してくれたと)

(美佳先生とも、仲良しになりたかった・・・少し欲張りかな)


瞳君は・・・キョトンとしていたけれど、相変わらず可愛いです。

(まだ中学生みたいで、お肌もきれい、二重まぶた、まつ毛が長い)

(最近流行のAI美少女フェイスです・・・私、負けているかも)


瞳君の家を出て、少し歩いて

「急にごめんね」

そっと手を伸ばしました。(・・・握ってくれない・・・)


瞳君は、まだ眠そう。(寝ぐせ残っています、それも可愛い)

「少し夜更かししたの」


「何していたの?」(私も、実は今日のことが心配で眠りにくかった)


瞳君は、少し笑いました。

「英語の訳で苦しんだ」

「日本語が浮かばなかった」


「うん、そういうことあるよね」

「言い回しは、日本語のほうが難しいかも」


途中で、風が強くなって来ました。(少し寒いかも、4月の初めなので)

で・・・スカートが不安。(短いのにした)(少しでも、可愛いと思ってもらいたかった)


そうしたら瞳君の声、やさしいんです。

「沢村さん、近くに来ていいよ」

「寒そうだ」(足・・・ほめてもらいたいけど・・・)


「はい」

(そう言って、うれしいような、驚くような)

(瞳君に、素直に、はい、なんて初めてかも)


だから、少し身体を寄せました、(触れている程度)

私鉄でもメトロでも、そのままです。(・・・緊張して汗をかきましたが)


会話は・・・普通の話です。

授業の話が多いです。

音楽部の話は避けました。

(瞳君の辛い謝罪の件に行きそうなので)

(それと里香先輩の話も嫌なので)


銀座四丁目で降りて、楽器店に着く前に、瞳君のスマホに着信がありました。

瞳君の目と声が輝きました。

「あ・・・里香先輩?」

「瞳です、おはようございます」

「はい、沢村さんの付き添いです」

「わかりました、待ちます」


瞳君が私に言う前にわかりました。

「里香先輩が来るの?」

瞳君

「美紀先輩も来るって」(※美紀先輩はクラリネットの二年生)


「・・・それまで待つの?」(・・・もう泣きそう・・・)


瞳君は、キョロキョロしました。

「ねえ、不二家でホットケーキ食べよう」

「朝ごはん、まだなの」


私は、途端に元気です。(胸を張りました・・・まだBカップだけど)

「うん!」

(瞳君との初デートが銀座の不二家、ホットケーキなんて、最高です!)


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