第18話僕はいきなり沢村美由紀とデートすることになった

僕(瞳)は、日曜日の朝、ということで朝寝坊をしていた。

昨日の夜は、鬼母美佳のトランペット特訓が2時間もあったし、英語の宿題に2時間かかったこともあり、なんやかんやで、寝たのが午前3時だったから。


目が覚めたのが、午前9時過ぎ。

鬼母が、パタパタと二階の僕の部屋にのぼって来た。

いきなり怒った。

「このバカ息子!起きなさい!」


驚いて目が開いた。

「何でいきなり怒るの?」


鬼母は、腕組みをして、いろいろ言う。

「あのさ、女の子が迎えに来たよ!」

「さっさと起きて!着替えて!寝ぐせ直して!」

「リビングに入ってもらっている」


僕は、意味不明だった。

「誰?」(里香先輩なら、鬼母も知っているから、里香ちゃんって言うだろうし」


鬼母からの口から、とんでもない名前が出た。

「沢村美由紀さん」

「瞳の昔からの同級生だよね」

「可愛い子ね」


僕は着替えながら弁明。

「約束していないしさ」

「何故来たのかな」


リビングに入ると、果たして沢村美由紀が座っていた。

学生服ではない(当たり前だけれど)

ピンクの花柄のワンピースを着ている。(確かに輝くように可愛い)


「あ、おはよう・・・」(僕から声をかけた)


沢村美由紀は、緊張気味。(ほほが真っ赤だ)

「急でごめんなさい、お願いがあるの」


「具体的には?」

(仲直りしたけれど、こいつには慎重になる)

(里香先輩には、何でも応じるけれど)


沢村美由紀は、超マジメ顏だ。

「一緒に銀座の楽器屋さんに行って欲しいの、新しいクラリネット買おうかなと」

「今使っているのは、小学生の時の、初心者向けのだから」

「母さんからお金貰って、大金だし、一人で行くのが怖い」


鬼母が、僕を見て、ウンウンと頷いた。

「そういうことなら、いいよ」

「行ってらっしゃい」


そして、沢村美由紀を見た。

「美由紀さん、私からも、管楽器売り場の主任に連絡しておくよ」

「現役の時からよく知っているから、しっかり見てもらいなさい」

(鬼母から、いきなり音楽指導者になっている)


沢村美由紀は、本当にうれしそうな顔だ。

(笑うと、メチャ可愛い、知らなかった)

「え・・・美佳先生!ありがとうございます!」

(いきなり先生になっているし・・・いつから?)


僕は、鬼母に1万円持たされて(食事代くらいは出しなさいと)、沢村美由紀と家を出た。

(単なる小学校からの同級生だ)

(警護担当者としてだから、デートではないよ)


少し歩いて沢村美由紀は、満面の笑顔。

「私、こうして瞳君と歩くのが夢だった」


「いつも文句を言って来たのに?」(マジに怖かったから)


「ごめん・・・瞳君、可愛すぎて、つい」


「反応できないよ、それ」(本音だ、上手い言葉が出ない)


「でも、里香先輩が好きなんでしょ?」(核心を突いて来るのが、沢村美由紀)


「うん、好きだよ、やさしいし、綺麗だし」

(ここも本音を押し通す、男は小細工しない)


「私もやさしくする、瞳君が好きだから」

(・・・声潤んでいるし・・・おい・・・)


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