塔の建設
国王の依頼を受け、俺は早速人の選定を行おうとしていた。
とはいえ、あの斜めの塔は偶然の産物でできたもので、いざ作ろうとすると人を選んでしまうことがわかる。
俺かメルティが建物の根幹たる建物倒壊を抑える魔道具を作るしかなく、あの巨大な塔の素材を運ぶにはフリッツの協力が必然であった。
同じく力がある、という点でファーストとかでもできそうではあるものの慣れという点でフリッツが一番であった。
ただ、国として考えると明らかに人材が不足している。
下手に人を出すと困る可能性もある。
「できるだけ時間は減らしたいな……」
工期を短縮させるとなると普通に作ることを考えていてはダメだろう。
そうなると……。
あらかじめ作っておくのがいいか?
ただ、斜めに揺れる塔なんてあらかじめ作れるものでも……。
「いや、待てよ」
この領地に塔ができたときのことを考える。
たしかフリッツが塔をだるま落としのように吹き飛ばして……。
「あっ……」
無理に作りに行かなくても良いわけだ。
そうなると……。
「フリッツとメルティさえいたらどうにかなるか。あとは作る場所は多少の誤差が出るだろうから広めに見てもらって……、よし、いけそうだ!」
早速俺は国王に塔の建築予定場所を確認しに行くのだった。
◇◇◇
領地の外れ。
まだ何も作っていない空地に俺、フリッツ、メルティ、ファーストが集まっていた。
「どうしてこんなところに呼び出したのよ」
ギリギリまで研究をしていたのか、跳ねた髪のままぶかぶかの服装でやってきたメルティが苛立ちを見せていた。
魔道具研究の手を止めさせているわけだから仕方ないかも知れない。
「これからとある魔道具を作ってほしいんだ。俺だけで作っても良いけど、先のことを考えるとメルティにも協力してもらっておきたい」
「あっ、そういうことね。それならOKよ」
魔道具と聞いて一瞬で機嫌を直す。
「それなら俺の出番はないんじゃないか?」
フリッツが不思議そうに言っていた。
「いや、むしろフリッツがこの作戦の要だからな。お前がいないと成り立たない」
「……どういうことだ?」
「とりあえずお前はそのハンマーで素振りしておいてくれたらいい」
「……? まぁやることがあるならいいが」
「ところで……」
二人は俺が呼んだからいいのだけど、ファーストは呼んでいない。それなのになぜかここにいた。
「どうしてファーストはここにいるんだ?」
「お前の力の一端が見れるかと思ってな」
「そんな力はないけどな……」
苦笑を浮かべながらも邪魔をしないなら問題はないのできにしないことにした。
―――――――――――――――――――――――――――――
【作者からの告知】
書籍化の情報ですが
本日はメインキャラたちのキャラデザになります。
ユーリ、フィー、エミリナのキャラデザを近況ノートにて公開させていただきます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます