とある者
国王が頼ったとある者とは……、自身の影武者だった。
十分な力を備え、なおかつ国王の姿そっくりの影。
時折、彼に任せ国王が街の様子を見に行ったりとかはして、よく怒られていた。
ただ今回は辺境地まで出向かないと行けない。
それも他の者に隠れて内密に……。
戻ってきてから怒られることを考えると気持ちが落ちこむが、より正確な状況を把握するためには仕方ない。
「すぐに影を呼んでくれ。急ぎの仕事がある!」
◇◆◇◆◇◆
ティアが来てすぐは色々とトラブルがあったものの比較的平穏な生活へと戻っていた。
ただ、これも独立についての問い合わせの返答くるまでの一時的なもの。
とはいえ、今満喫しておかないと次はいつこの平穏な時間が来てくれるかわからないのでのんびりしておくことにする。
「ユーリ様、王国の人が来てるの」
どうやらほとんど休暇の時間はなかったようだった。
俺はため息ながらその使者に会いに行く。
――んっ?
応接間に入った瞬間に俺は首を傾げる。
どこか見たことのある人物がそこにいた。
やたら話しやすそうな、それでいて目の奥では笑っていない不思議な男だった。
しかし、どこで会ったかまで記憶にない。
でも、王国の使者なのだからおそらくは城のどこかですれ違ったとか、父バランの客として来たとかなのだろう。
紹介されたわけでもないのだからいちいち覚えていないのは仕方ない。
――いや、待て。
よくよく見るとその姿がインラーク国王と重なっていく。
――そういえばインラーク国王は変装をして城下町を出歩いている、という話があったな。
まさかこんな辺境地まで来るとは思っていなかったが。
――危なっ。ここで下手な対応をして国王の反感を買えば破滅ルート一直線じゃないか!?
先に気づくことができたためにそれ相応の対応ができそうだ。
大きく深呼吸をして気合いを入れ直す。
「本日はわざわざ遠くからご足労いただきありがとうございます」
「いえいえ、こちらこそ突然の来訪にも関わらずにお時間をいただき、ありがたい限りにございます」
手を差し出されたので、その手を取って握手をかわす。
「私はインラーク王国からの使者のアウル・イークランです。本日はインラーク国王よりお手紙を預かっております」
なぜか対応の仕方が他国に対するそれのように思える。
「拝見させていただきます」
手紙を受け取り、中身を見るとそこに書かれていたのは要約するとミリアからもらった手紙とほとんど同じで、独立国として認めることと、ミリアと婚約して欲しいということ、あとはこれからも友好を築いていきたいということが書かれていたのだった。
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