各国の対応
獣王国にて。
ユーリが独立国の建国を認められた旨の手紙がエルゥから届いた獣王。
その手紙を握りしめ、歓喜に震えていた。
「獣王様、そ、そのくらいにしてください。大切な手紙が……」
「おっと、そうであったな。最愛のエルゥから来た手紙をぞんざいに扱うわけにはいかんな」
少し皺が寄ってしまった手紙を慌てて丁寧に伸ばす。
もちろん完全に広がることはなかったものの、ちょっとはマシな様子になっていた。
「それにしても遂にあやつが独立することになったか。さすがにあれだけの戦力を抱えられてはインラーク王国も手に余った、ということだろうな」
「それは我が国も同じ事ですよ。確かにエルゥ様がいらっしゃいますが、それでも隣接国にございます。もし何かがあれば……」
「……それもそうか。なら行動は早い方がいいな」
「い、一体何を!?」
「ちょっとエルゥに会ってくる。ついでに婿殿に会って色々と話を付けてくるぞ」
「お、お待ち下さい、獣王様。それなら私たちも――」
「いや、お前たちはここで我の仕事を頼むぞ」
「……えっ?」
獣王の背中には隠された書類の山が連なっていた。
それを見た瞬間に男はサッと表情が青くなっていく。
「お、お待ち下さい。これだけの量、とても我々だけじゃ……」
「では行ってくる!」
「獣王様ぁぁぁぁぁ!!」
男の無念の叫びが響き渡るが、それを気にすることなく獣王はマントを翻して城を後にしていた。
◇ ◆ ◇
帝国にて。
ルナから手紙を受け取った皇帝。
誰もいない私室で不敵な笑みを浮かべていた。
「やはり我が見立て、間違っていなかったようだな」
場合によってはちょっと王国と
さすがは我が最強の精鋭、
こうでなくては我が孫、ルナの夫に相応しくないからな。
とはいえ、手紙だけでお祝いを済ますのも味気ない。
ここは少し驚かす意味でも直接出向いてやるとするか。
一応婚約の順番からも正妻は獣王国の王女ということになっている。
とはいえ、力の強いものが勝つのが世の習わし。
妾が正妻を喰ってしまうこともまたよくあること。
そして、ルナもおそらくはそれを狙っているであろう。
ならば我のすべきことは帝国という圧倒的な力を見せつけること。
すでに何人か
これから建国となると何かと物入りになるだろう。
「祝いの品でも持って行ってやるか」
ただ皇帝が一人で向かうこともできない。
今までなら
最強に拘る奴だったから負けたのがよほど悔しかったのだろう。
そうなると、次に強いのは……。
「はぁ……、あいつか。でも仕方ないな。
近くにあったベルを鳴らすとやってきた使用人にそう言うのだった。
―――――――――――――――――――――――――――――
【作者からのご報告】
皆さんの応援のおかげで『黒幕一家に転生したけど原作無視して独立する』が書籍化、コミカライズ化することが決まりました。
本当にありがとうございます。
レーベルや詳細については追ってご報告させていただきますので、のんびりお待ちいただけるとありがたいです。
また他作品についてもご報告がありますので、気になる方は近況ノートの方をご確認いただけますと幸いです。
引き続きどうぞよろしくお願いします。
【作者からのお願い】
これからも頑張って続けていきますので、よろしければ
「応援したい!」「続きが気になる!」
など、思っていただけましたら、下にある『☆で称える』のところにある『+』ボタンを押して応援していただけると嬉しいです。
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