終戦
獣王国に戻ってくると獣王たちに出迎えられる。
「その様子だと黒幕は……」
「あぁ、吹っ飛ばした。ラムが」
「マズかったメェ!」
それだと食ってるだろ! というツッコミは誰もしなかった。
そこまで今の獣王には余裕がなかった、とも言える。
「それで黒幕の正体は?」
「帝国の人間だった……と思うぞ?」
よく考えると
見せかけ魔法が使えるのならばなおのことだった。
「どういうことだ? 相手のことがわからなかったのか?」
「いや、相手は
「もしかすると策謀担当だったのかもしれんぞ」
なるほど。確かにそれなら直接の戦闘力が他の
ただ自称六位と九位を見ているからこそ真っ先にそんな考えが浮かんだわけで。
「一応帝国には抗議を入れておく。証拠はないのでしかと取り扱ってもらえるかは疑問だが」
「なんだったら俺が直接伝えるか?」
どうせこのあとルナに帝国へ来るように誘われている。かなり兵の減っている獣王国から使者を出すのも苦労するだろうから、それならついでに言う方がいい。
獣王にも貸しを作れるからな。
今回の内乱の協力でかなりの貸しは作れている。あと一押しあれば処刑が決行された際に領地ごと逃げられる頼みを聞いてもらえるかもしれない。
「そうしてもらえるのなら助かる。エルゥを使者として、その婚約者である婿殿がサポートするのは何も変なことではないからな」
「おいっ、婚約は独立してからの話だろ?」
「今回のことで俺も腹が据わったからな。婿殿の独立には全面的に協力する。それが不可能であるならば婿養子として迎え入れよう」
獣王は笑って答える。
むしろ後者のほうが本音のように思えた。
「勝手に俺を獣王にしようとするな」
「バレたか」
「わかるように言ってただろ?」
驚いた表情を浮かべる獣王だが、すぐに笑い声を上げる。
「がははっ、ますますお前を王にしたくなったぞ。エルゥ、絶対に離すんじゃないぞ!」
「大丈夫ですよ。しっかり捕まえてますから」
そういうとエルゥはガッチリと俺の腕を掴んでくる。
何気に力があるので、捕まえられたら俺の力だと引き離すことはできない。
魔法ばかり使ってきた弊害だろうか?
あとで俺自身のステータスがどうなっているのか確認するか。
「こっちはフィーが抱きつくの」
エルゥの真似をしたのか、反対側をフィーが抱きついてくる。
「なるほど、両手に花だな」
「獣王が焚き付けたせいだろ?」
「男冥利に尽きるだろ?」
どちらかといえば子守のようにも思える光景だが――。
ただそれを言ってしまうと二人は怒ると思うので、俺は別の標的へと話を逸らすことにした。
「そういえばフリッツもそろそろ相手を見つけた方が良いんじゃないか?」
「お、俺か!? いや、俺は自分が食べていくのもやっとで――」
「エミリナとかはどうだ? ドラゴンスレイヤーと聖女ならお似合いじゃないか?」
「え、エミリナにも都合があるだろ!?」
フリッツは慌てた様子で答える。
それを見ると意外とフリッツ側に気があるのかもしれない。
一方のエミリナは……相変わらず微笑んでいて何を考えているのかわからない。
ただ、これが上手くいくと聖女の監視が弱くなるから俺ももっと自由に動けるようになる。
領内でも信頼できるフリッツに任せるのが俺としてはベストな選択だった。
「助けが必要ならいつでも言ってくれ。長期休暇でも家でもなんでも用意してやるからな」
「さすがにそれは気が早すぎる」
これからの作戦、なるべくフリッツとエミリナを共に行動させようか、とかそんなことを考える俺だった。
◇ ◇ ◇
獣王との談話が終わり、出発は数日後ということになったので俺は部屋で休みながらも自分自身を鑑定で調べていた。
名前:ユーリ・ルーサウス
性別:男 年齢:11歳 種族:人族
職業:公爵の三男、アルフの街の領主、全種族の長
レベル:53
HP:142/142(A)
MP:-/-(S)
攻撃:14(A)
防御:9(C)
敏捷:18(C)
魔力:471(S)
【スキル】
剣術:1(B) 偽装:7(A) 鑑定:10(EX) 詠唱破棄:10(S) 限界突破:1(EX) 想像魔法:10(EX)
【魔法】
火:9(B) 水:10(C) 土:16(A) 風:11(B) 闇:14(S)
どうやら魔法とスキルに関しては10がMAXの数値らしい。
新しく出た限界突破の影響でそれ以上に伸びるようにはなったが、伸び方も一気に鈍化していた。
それに何よりも問題なのはステータス側である。
あまりにも偏りすぎてる極振り状態。
確かに他の能力も大人の一般人とは遜色ないほどではあるが、魔力に関してはもはや世界の頂点と言えるかもしれない。
いや、賢者とか魔王がいるからそんなことはないだろうが、改めて黒幕の一人でラスボスたるユーリのステの伸び方には感服してしまう。
まぁ、いくら強くなったところでやることは変わらないけどな。
そんなことを思っているとフィーが部屋に入ってくる。
「珍しくピカピカしてるの」
「あぁ、なんか最近魔力が増えたからか、この光も強くなってしまったんだよな」
もう隠すとか隠さないとかのレベルじゃなくなってしまい、人が多い場ではあまり使いたくない死蔵スキルとなってしまったが、こうやって一人の時だと重宝してくれる。
それに目が光ることを犠牲に一度に鑑定できる範囲は広くなった。
おそらくは脳内で情報処理できる量が増えた、ということなのだろうが俺からしたらあまり嬉しいことではなかった。
「ピカピカ、すごく面白いの」
そのうち目からビームでも出せるようになるんじゃないだろうか?
そんなことを思っているとフィーの鑑定画面も出てきてしまう。
名前:フィー
性別:女 年齢:12歳 種族:獣人
職業:ユーリの側付き、ユーリの妾
レベル:42
HP:210/210(E)
MP:14/14(E)
攻撃:12(E)
防御:6(E)
敏捷:41(C)
魔力:3(E)
【スキル】
短剣:3(C) 隠密:6(B) 料理:-2(EX) 索敵:6(C) 暗殺:1(C) 危険察知:3(D)
【魔法】
土:1(E) 風:1(D)
ずっと俺と行動をして来たからだろうか?
フィー自身のレベルもとんでもなく上がっていた。
確かにパーティー制なら仲間全員に経験値が配分されるのでそれは何もおかしくない。
俺が倒してきた相手の数を考えるとこのくらいは当然だろう。
更に嬉しい誤算としては隠密絡みのスキルがかなり増えていることだ。
フィーにはそっち絡みの頼みが多かったが、普段からずっと俺の周りを気にして気配を探ってくれていると言うことなのだろう。
なぜか料理スキルがおかしいことになっているが。
「……どうかしたの?」
「いや、なんでもない」
料理はフィーに作らせないようにしないと。
そう心に決めるのだった。
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