第110話
あの最悪の日から翌日。腹の虫はまだ治まっていないが、昨日よりかは大分楽になった。
それに朝はひなといっしょに登校してひなののんびりとした穏やかな朝を過ごし、癒しになった。
学校についてしばらくすると昨日カラオケにいた鈴木さんとその他が登校してきた。
「あ!…そ、そのぉ…田代さん、ごめんねぇ?」
鈴木さんは私を認識すると素早く近づいてきた申し訳無さそうに謝った。
私が男嫌いなのをその目でしっかりと理解できたのだろう。その他も申し訳無さそうにしている。
「……ま、昨日のことは水に流すよ。でも、もうあぁいうのはやめて」
「は、はぁい」
鈴木さんたちはいそいそと自分たちのテリトリーへと帰っていった。
ひなに目線を戻すとひなはこちらを心配そうに覗き込んでいた。
あまり怒ったりしない無関心人間の私がこんなにも怒っているから、相当なことがあったんだと理解してくれているのだろう。
「だ、大丈夫?」
ひなはポケットから飴を一粒取り出し、こちらに差し出した。
ありがたく受け取って口に放り込んで心配そうなひなに対して安心するように微笑む。
「ありがとう。でも、もう大丈夫だよ」
そう言いながらも鈴木さんたちの顔を見て昨日の野猿たちを思い出して少し苛立っていた。
変わりにひなの頭をなでて癒やされることにした。口の中の飴はラムネの味がして甘くて美味しい。
「…昨日はね、鈴木さんたちとカラオケに行ったんだけど、野ざr…他校の男子たちがいたの」
「え、えぇ…あやちゃんって男の人苦手じゃなかったっけ?」
やはりひなは私のことをよく理解してくれている。
唯一の理解者であるひなの髪を崩さないように優しく撫でていると珍しく遅れて紫苑も登校してきた。
「おはよう、紫苑ちゃん。今日は遅いね」
紫苑は酷くやつれた様子でどこか元気がない。
フラフラとしながらも、私の斜め後ろの自分の席に荷物を下ろした。
「お、おはようございます…。今日は駅で他校の男子に話しかけられて…それでちょっと疲れちゃいました…」
……どうやらここにも理解してくれそうな人がいるみたいだ。
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