第82話
ついに体育祭も後半戦。
昼食明けの最初の種目は『応援合戦』である。
この応援合戦は3学年のそれぞれの組ごとに行われるもので、つまりは7クラスなので7回の応援合戦が行われる。
この種目こそ新聞部として写真を最も撮らなければならない。
私とひなは朝礼台の前に座って撮影を行う。ここがど真ん中だからね。
「応援合戦、楽しみだね〜。みづきちゃんと杏ちゃんも踊るんだって」
応援合戦と言ってもダンスである。
しかし、割と自由度は高めなので辺りを見渡してみると某有名アニメのコスプレをしている人もいる。こういうエンタメは応援合戦のときだけは見逃されるらしい。
「ふ〜ん…みづきはともかく杏って踊れたっけ」
「恥ずかしがり屋ではあるけど…『演技だと思えばなんとか…』って言ってたよ」
ひなは少し声のトーンを落として杏っぽくそう言った。かわいい。
杏もさすがは演劇部と言ったところか、切り替えはできる女だ。杏は演劇のときだけは別人になれる。
ちなみに私のクラスからは15人ほど選出されていて、ウェイウェイ系の男女の中に何故か紫苑もいる。
メンバーを決める時に私は新聞部の撮影を盾に断ったが紫苑は断れる理由がなかった。それに紫苑は意外とスタイルがいい。
あの女子たちに一度目をつけられたが最後。紫苑は囲まれてあっという間にメイクやらヘアメイクやらを施されてしまった。見るに耐えなかったな…。
「紫苑ちゃんもダンス上手だったからね〜。もっと自信持ってほしいよ」
「そうだね、紫苑を撮ったらその写真を翡翠さんに見せよう」
「あっ!いいねそれ」
ひなはあれやこれやとカメラの設定を見直してソワソワとあたりを見渡している。
今日はひなが私の方を見ている時間が少なすぎる。ひな不足で死んでしまいそうだ。
ふとひなは遠くで円陣を組んでいるクラスの撮影をするためか、立ち上がった。
私の目には普段はなかなか見れないであろうひなの膝裏のくぼみが写った。それは私にとってあまりにも刺激的で扇情的だ。
私はそのくぼみに触れ、むしゃぶりつきたいという欲に駆られる。
しかし、仕事を真面目に行わなければひなに怒られてしまう。それどころか『変態』と罵られて別れを告げられるかもしれない。
ここは大人しく心のシャッターを切っておこう。
…………ひなになら『変態』と罵られてもいいかもしれない
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます