第81話

 いくらかの競技が進んだところでようやく昼食だ。


 昼食は教室で食べるためやっとひなと共に行動できる。私は杏と別れを告げてひなのことを探しながら教室に戻った。


 教室に戻るとひなと紫苑がいつものように机を合わせて私を待っていた。


「お疲れ様、あやちゃん」

「うん、疲れた」


 私はひなの隣に椅子をピッタリとつけてひなにもたれかかるように座った。


「あ、あやちゃん?し、紫苑ちゃんも見てるから…」


 小さな声で注意されて前を見ると紫苑がキラキラした目でこちらをガッツリと見ていた。喜んでるように見えるけど…


「はい、お弁当」


 ひなは私の前に可愛らしいお弁当箱を置く。


 今日はなんとひなが弁当を作ってくれている。私も作ったということはお弁当箱交換である。


「ん、あんまり得意じゃないんだけど…」


 私は料理が得意なわけではないので無難なハンバーグとか卵焼きしか入っていないが、動画を見ながら頑張って作った。


「いただきます」


 ちゃんと感謝を示しながらひなの作ってくれた弁当箱の封を開ける。


 中身は卵焼きであったりおにぎりであったりとシンプルではあるが、おにぎりが猫の形をしていたり、ハート型のにんじんやチーズを使った、ミニグラタンであったりと全体的に可愛らしい。


 私は教室に先生がいないことを確認してスマホを取り出し弁当を撮影した。


 正直こんな可愛い弁当…というよりかはひなの作ってくれた愛妻弁当を食べるのはもったいないから食べたくない。


 ひなの方をちらりと見るとひなも私の弁当をキラキラとした目で見ていてクオリティの違いから少し申し訳ない気分になる。


 私は意を決して箸を取り出し、ハート型に置かれている卵焼きを取り出し、口に含む。


「………おいしい」


 卵焼きは少し甘めの味付けでふんわりとしていて美味しい。私が作ったちょい焦げの卵焼きとはぜんぜん違う。


「ん!おいしいよ、あやちゃん」


 ひなも私の作ったハンバーグを食べて満面の笑みで乾燥を言ってくれる。


「いや…ひなの弁当も美味しいよ。というかクオリティがすごすぎる。食べるのがもったいない…」


 私とひなはお互いにそんな褒め合う感想を述べながらいつもよりゆっくり目に弁当を食べ終えた。




「うぐぅ…推しカプの絡み、てぇてぇ……あとで杏さんにも報告しなきゃ!」

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