第67話
しばし外でデートを楽しんだ私たちは夕方にひな宅に帰った。少し休憩したら一緒に夜ご飯を作る。
私は料理がそこまで得意ではないのでひなに頼り切りになってしまうが、ひなの料理はプロ級に美味しい。
「何作るの?」
「今日はね、ハンバーグだよ」
ひなは機嫌が良さそうに冷蔵庫から玉ねぎを取り出した。
私はひなに指示されるがままに玉ねぎをみじん切りにする。
やはり、玉ねぎは目に染みるな…と思っているとひながボロボロと泣き出していた。
「うぅ…どんだけ料理してても玉ねぎは目に染みる…」
少し眉をひそめて涙を流すその姿になんだかドキドキ…というかムラムラする。
私は猿ではないのでそんな欲は抑えて、ひなの目が腫れる前に玉ねぎを切り終え、耐熱容器に入れた。
そしてその容器を電子レンジに入れて数分温める。
その間にひなもひき肉を練り終え、冷たさで真っ赤になった手を温めていた。
温め終えた玉ねぎとパン粉、牛乳、卵をひなが目分量で入れ、今度は私が練る。
その後は早いものでひなの素早い手さばきによって私が一つ形を作り終える頃にはひなが残りの生地を全部作っていた。
その後、ひなは私にソースを作るように言ってきたのでひなの言う通りにちゃんと計りながらソースを作った。
ひなはそうしている間に付け合わせのスープやサラダなどを作り終えていた。
「……ひなってホント良いお嫁さんだよね」
「へっ?!」
すぐに真っ赤になってしまうところも可愛いよ。
こうして夜ご飯を作り終えた私たちは良い時間になったので食事を始める。
「「いただきます」」
ひなの作ったコンソメスープはかなりクリーミーで口当たりが良い。甘くて体の芯からあったまる。
サラダのドレッシングも手作りなようで程よい酸味がサラダをもう一口たでたいと思わせてくれる。
そしてハンバーグ。
このデミグラスソースは私が作ったもの。ひなの美味しいハンバーグが台無しになる可能性だってある。
少し緊張しながらも一口、口に運んで咀嚼する。
「ん!美味しいよ、あやちゃん!」
デミグラスソースにしては少し酸味が強すぎる気もするが、ひなは私のソースを絶賛してくれているみたいだ。
「ありがとう。ひなの料理も全部美味しい。流石だね」
ひなは頬を緩めて嬉しそうに喜ぶ。
「毎日ひなの料理を食べたい」
「うっ…お、大人になったら、ね?」
ひなの大胆な発言に私は思わず箸を落とし、ももたに吠えられてしまった。
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