第65話

 プラネタリウムの時間は午後からでまだまだ時間がある。


 なので私たちは駅を降りてすぐにあるレストランで早めの昼食を摂って、時間を潰した。


 食事を終えて、バスに乗ってプラネタリウムへと向かう。


 私は事前に調べるために開いておいた今から向かうプラネタリウムのホームページを開いてひなに見せる。


「わぁ…ここ、前から気になってたところだ」


 ひなは喜んでくれているようで、キラキラとした目で私のスマホを覗き込んでいる。


 対する私はいつひなに指輪をあげようか、ということで頭がいっぱいだった。


 ひなは公衆の面前で指輪を貰うというイベントは好きじゃなさそうだし、いつあげるのがベストなのだろう。


 やはり、二人きりの時がいいのだろうがタイミングというのは大切だ。


 変なタイミングであげてはトキメキは半減するし、逆に言えばいいタイミングだとトキメキは倍増する。


 事前に杏にも相談してみたのだが、あの演劇オタクは壮大なプロポーズが大好きすぎて、ひなの好みに合うのかが分からない。


 昨晩までもしっかりと考えていたのだが、未だに最適解は導き出せていない。


「?あやちゃん、どうしたの?」


 ひなが考え込む私を心配して小さな声で呼びかけてきた。


「なんでもないよ」

「そう?なら、いいけど」


 今はひなとデートしているのだから、今はひなに集中するべきだろう。


「ひなはイチャイチャするのって好き?」

「んんっ!ど、どうしたの急に?」


 万一、ひながそういう愛を受けるのが苦手だったときのために今のうちに聞いておこう。そのほうが安心だ。


「い、イチャイチャするのは……好きだけど…」


 ひなは顔を真っ赤にしてボソボソと答える。


「ん、よかった」


 私はひなの肩に頭を乗せてひなに甘えてみる。


 ひなも特に嫌がるわけでもなく、私の頭にそっと自身の頭を傾ける。


「あらあら、ほらあそこ…かわいいわねぇ」

「あらほんと、可愛らしいわね」


 ふと、後ろの座席からそんな声が聞こえてきた。


 そういえば後ろの席にも人がいるんだった。


 ひなもその事実に気づいて、恥ずかしくなったのか傾けていた頭を戻してしまった。


 なるほど…人前でイチャイチャするのは好きじゃないのかな…

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