第61話

 ついに夏休みも終わり、2学期が始まった。


 みづきは始業式前日にひなに泣きついていたので丁重に引き剥がしておいた。


 ひなは大分デレるようになってきてくれて、最近では恋人繋ぎで登校してくれる。ま、学校近くでは繋いでくんないけど。

 休日はできるだけ一緒にいようとしてくれるし、よくお菓子を作っては私に食べさせてくれる。


 そんなひなに私はドキドキが止まらないし、常に心の奥の欲望を止めるのに必死になっている。


 ひなに貰ったクッキーを食べながら今後について考える。


 概ね当初の予定通り、ひなと付き合い、恋人として過ごせてきているのではないかと思う。


 だが、私の目的は付き合うだけではない。


 私はひなと心から溶け合い、身も心も一つになる。つまりは共依存。それが私の目的であり、ゴールだ。


 現時点ではそのゴールへの道のり半分、といった感じだろうか。ゴールはまだまだ見えていない。


 ひなはどんなふうに嫉妬してくれるんだろう。可愛く拗ねるのだろうか。それとも怒る?泣く?もしかしたら凶変するかもしれない。私のことを部屋に監禁してひな以外見れないようにされるかもしれない。外に出れないように身体の自由を奪われるかもしれない。そもそもひなは上だろうか。ひなはいつも優しいし、おっとりとしているが案外夜は変わるのかもしれない。ひなはたまにSなところもあるし、そんなギャップがまたたまらないところだ。ひなは私のどこが一番好きなんだろう。胸もそこまで大きい訳では無い。ひなはムッツリだから太ももとかうなじとかが好きだったりしそうだな。今度私のどこが好きなのか聞いてみようかな。


 ひなのことを考えながらひなとおそろいのヘアピンをいじっているととてつもなく大切なことを忘れている感じがした。


 なんだか、とても焦った気持ちになってきたのでいても経ってもいられず、少しカバンを漁ってみる。


 すると一つの袋が出てきた。


 嫌な予感に冷や汗を流しながらもその袋を開けて、出てきた正方形の箱を開いてみる。


 そこから出てきたのは私がひなの誕生日にあげようとしていた指輪だった。





「………忘れてた」

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