第62話
ひなに指輪を渡す日を見極めて1週間が経った。
なんでもない日に渡すのも何だし、一ヶ月記念というのも重すぎるかな?
そもそも、ひなは記念日とかかなり大事にするほうなのだろうか。もしそうなら指輪を渡してもいいかなと思える。
思い立ったがなんとやらという言葉のままに私はひなに電話をかけた。
『もしもし、あやちゃん?』
数回のコールのあと、待ちわびたひなの声が聞こえてくる。
急な電話に困惑したかな?少し息が荒い。
「あのね、ひな。もうすぐ私たち付き合って一ヶ月じゃない?」
『う、うん…そうだね。えへへ、なんだか早いね』
思い返すと早いものだ。つい昨日ひなと付き合った気持ちだったが、もう一ヶ月経とうとしているのだ。
「うん、それでね、ひなって記念日とか気にするタイプなのかなぁって」
嬉しそうにするひなの声をずっと聞いていたい気持ちをぐっと抑え、本題にうつる。
『記念日かぁ……結構気にしちゃうほうかも…』
私の予想通り、ひなは気にするタイプなようだ。
『一緒にお祝いするのとか、結構あこがれちゃうかな』
「ふーん…」
『ふ、ふーんって!もう!あやちゃんがニヤニヤしてるの、なんとなくだけどわかるんだからね!』
照れながらも怒るひなは愛おしくて、ニヤけずにはいられなかった。
「…じゃあ、記念日にデートしよっか」
『あやちゃんったら、また話逸らして…』
「デート、しないの?」
『………する』
「うん、じゃあ予定立てとくね」
最終的には言いくるめられて『うん』しか言えなくなるひなに私の胸は早鐘を打つ。
ひなは現在、どんな顔で通話をしているんだろう。それが気になって仕方がない。
今度、小型カメラでも買って、ひなの部屋にでも仕掛けてみようかな。
『……あやちゃん、楽しみにしてるね』
「……うん」
ひなとの電話が切れた後、持っていたスマホをベッドに投げ捨ててそのままベッドに倒れ込んだ。
「…どうしよ」
最近の私はひなに恋しすぎている。
結ばれた途端にひなのことが愛おしくて仕方がないのだ。
私は投げたスマホを持ち直し、早速通販サイトを開いた。ログインを済ませて検索窓に『小型カメラ』と打ち込んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます