第50話
今日はモデルの仕事があった。夏終わりということもあり、秋に向けた撮影だったので少し温まった身体を控室で冷やしていた。
「お疲れさまです〜」
「ん、お疲れ様です」
控室に入ってきたのは
彼女はいつも間延びした口調で周りに好かれようとしている魂胆が丸見えだが、嫌いではない。
「萌歌さん」
「ん〜?あっもう!綾城さんってば、萌歌って呼んでくださいよぉ♡」
「相談があるんですけど」
「む、無視…?」
やたらとボディタッチが多いところはそんなに好きではないが、流行りものやおしゃれにも詳しい。彼女ならデートスポットにも詳しいだろう。
「今度デートに行くんですけどどこらへんがおすすめですか?」
「で、デート?!やっぱり綾城さんにも彼氏の1人や2人はいるんですね〜♡」
萌歌さんは興奮したように私の隣に座った。
「お相手はどんなところ好きそうだな〜、とかあります?」
「う〜ん…水族館とか好きそう」
「水族館!良いじゃないですか!こないだリニューアルされたここなんてどうです?」
そういって見せられたのは海の方にある水族館だ。最寄りからだと乗り換え1つだし、電車だと10駅も離れていない。ここならデートスポットとしてもいいだろう。
「いいですね、ここ」
「そう!ここのカフェいい感じの雰囲気だし、案外ここらへん栄えてておしゃれなレストランとかあるんですよ〜」
萌歌さんは恐ろしく素早いフリック入力で水族館近くの情報を表示させた。
画面にはいくつかのカフェであったり、港町的なおしゃれな町並みが表示されていた。ここなら初デートの場所としては良い感じだろう。
「なるほど…ありがとうございます。ここにしてみようと思います」
「うんうん!ちなみにさぁ、お相手ってどんな子なの?惚気けて良いんだよぉ?」
萌歌さんによって教えられた情報やサイトをスマホのメモに書き出し、早速デートプランを練ってみる。
紫苑に言ってデートっぽい服装とかメイクとか教えてもらおう。紫苑も雰囲気からして協力者なのだろう。ならば紫苑とともに計画を練るのも良いかもしれない。いや、特別なデートなのだからできるだけ自分で計画したいところだ。
「あ、あれ?話してくれない感じ?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます