第37話
温泉からあがった私達は旅館の料理を頂いた。旅館の料理は和食でとても豪華だった。特にお刺し身。近くの漁港から直接仕入れているようで新鮮なようだ。
ギャルたちはあれだけはしゃいでいたこともあり、すっかり眠くなってしまったようだ。しばらくは耐えていたがあっという間に寝てしまった。
そしてこういう旅行の定番イベントといえば2人で抜け出すことだろう。ならば私は……
「杏、ちょっと良い?」
「え?私ですか?いいですけど…」
本来であればここでひなと抜け出したいものだ。しかしここはひなではなく杏を呼び出した。特にこれといった用はないが、まぁしいといえば今後のことについてだ。
私達は旅館を出てすぐにあるコンビニに立ち寄り、アイスを買って防波堤でその封を開けた。ちなみにアイスは私の奢りだ。
「ぅんま!…で、どうしたんですか?ここはひなちゃんを呼び出すべきだったのでは?」
「いやーそうしたいところだったんだけどね…。今日のひなを見たら今は違うかなぁって思ってさ」
そう、今日のひなはいつもとは何かが違った。正確には今までとは違ってきている。
私の思惑通りであればひなは私が誰かと仲良くしていることに嫉妬しているのだろう。なので私は計画を1段階進めることにした。
『ひなとの接触を減らし、他の人との接触を増やす』
これを続け、ひなにひな自身の嫉妬心を自覚させることが狙いだ。だが、この夏でひなに告白するのに接触を減らすのは少し不安要素の多いことだ。
そのため作戦は『ヒット・アンド・アウェイ』。濃密な接触をしたあとは接触を減らし、また接触をしたあとは接触を減らし……というようにバランスをとるようにする、という作戦だ。
「やっぱり夏休みとひなの誕生日がキーイベントだよねぇ…。夏休みが終わってすぐにひなの誕生日だし、8月の上旬のうちにプレゼント買っときたいなぁ…」
「そうですね、ここは誕生日の日に告白…とかですかね?」
「うん…そうだね、そうしよう。…あ、あとひなのプレゼント選び、手伝ってよ。そういうの詳しいでしょ?」
「はい!もちろんです!」
そう、そうだな。ひなの誕生日に告白しよう。ひなの誕生日は8月21日。夏祭りの2日後だ。
おしいことにはなるが、夏祭りの間は接触を減らし、誕生日の日に一気に距離を近づけてしまおう。
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