第29話
お昼を食べ終え、休憩を挟んだ私たちは再び机へと向かい、勉強を始めた。
「ねぇ、ひな。海かプールだとどっちがいい?」
「え?えーと…海、かな?」
「ふーん…ひな水着持ってなかったよね?今度一緒に買いに行こっか」
「ちょ、ちょっと待ってよ!行くとは言ってないよ?!」
作戦1『流れを作る』失敗。やはり一筋縄とはいかないか…。
「えー、いいじゃん。海なら泳がなくても楽しめるよ?」
「う、うーん…でも水着とか恥ずかしいし…」
「最近の水着ってほぼ服と変わんないやつもあるんだよ?ね?いーでしょ?」
「…う、ん。まぁ、それなら…」
よし、作戦2『全力説得』成功。我ながら上手く言いくるめられた。
「…でも、水着選び、手伝ってよね」
上目遣いで頬を軽く染めながらボソボソと言ってくるそれはあまりにも破壊力が高かった。
思わず、押し倒して襲ってしまおうかと思ったほどだ。
「…えっちなの選んじゃおっかなぁ」
「…やめてね?」
ひなに似合う水着はどんなのだろうか。やはりワンピース型かつフリフリな可愛らしいものがいいな。
「あやちゃんは水着、持ってたっけ?」
「私?うーん…純恋さんに頼めば貰えるけど…」
「じゃ、じゃあ…水着、お揃いにしない?」
…そ、その手があったか。ひなはホントにあざとい。あざとすぎる。私が男だったら絶対に押し倒してしまっていただろう。
「…うん、そうしよっか。ひなったら私のこと大好きだよね」
「そ、そんなこと!……あるけどさぁ…」
もうダメだ。今日は誘惑が多すぎる。ひなはなんだか近頃、素直さが増しているような気がする。
このままではひなに溺れて死んでしまうかもしれない。
「はぁ…かわいすぎ…まじで結婚しよ?一生愛してるって誓うわ」
「もう、あやちゃんったら疲れちゃったの?勉強しないなら帰っちゃうよ?」
「いやいや、本心だよ。心の底から愛してる」
「も、もう!あやちゃん!」
ひなはもう顔が真っ赤っかだ。そのまま勉強へと戻ったが、いくら経っても課題のページが全く進んでいないようだった。
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