第22話未来
「人が居なくなった未来ってどういうことですか?」
「怨霊だらけで人っ気がまるでなかった」
「そんな事が」
「いつその未来が来るのかは分からない」
「それじゃあいつ何が起きるか分からないって事ですか?」
「いや卑弥呼は千里眼を持っていたと言われているが実際はそんなに先の未来を見れた訳ではないらしい」
「じゃあ近い未来に何かが起きると言うことですね」
「そうなるな」
「やはり六条御息所でしょうか?」
「分からない、でもその可能性が大きいだろうな」
「何が起きるのでしょうか?」
「分からないとしか言えないがもし未来のままに事が起きるのなら現状の陰陽師では太刀打ちできないな」
「直ぐに協会に報告します」
「よろしく」
正直言って、誰も人間がいなく渋谷が廃墟になっていた未来だったのでなぜこんな事になってしまったのか。
「九尾」
少しの手がかりでも欲しいと九尾にきいてみることにした
「なんだ?」
「千里眼で未来をみた」
「ほお、それは興味深い」
「そんな流暢なことを言ってられないんだ」
「それはまたなんで?」
「人間が誰も居なかった」
「それは場所によるだろう」
「渋谷でまだ明るかったからそんな時間に怨霊がうようよといるわけないだろ」
「六畳御息所によるものなのか、それとも他に要因があるのか、でも少なくとも六畳御息所
の結界を外部からの破った何者かが関与しているだろうな」
「九尾」
「なんだ?」
「外から何か探ってくれないか?」
「そういうのは犬とかがやる事だろう」
「普通の霊じゃ残影がどうしても残ってしまう、だからここは一つ頼まれてくれないか」
「分かった、ただ京都のように六畳御息所と遭遇したら直ぐに逃げろ」
「分かった」
そう言うと九尾は外へと浮遊しながら出ていった
外部から結界を破った奴も分からないとなると現状はこっちから動くことができない。
「さてとどうなるかな」
「太一様」
「どうだった?」
「それなんですが、上層部は直接太一様にお話したいと」
「俺と?」
「はい」
「あいつら性格悪いから嫌なんだけど」
「そうも言ってられないでしょ」
「そうなんだが、いつ?」
「できれば早いほうがいいでしょうね」
「じゃあ飯食ったら行くか」
「準備します」
健二が料理を始めてキッチンに立った
俺は書斎へと行き何か手がかりがないか書物を見に行ったが安倍晴明が生命をかけてでも作った結界術を破るすべはなかった。実家に帰って見ても恐らくてかがりはないだろう。あるとすれば禁錮室だろうがあそこに行くには沢山の人の許可がいるので直ぐにまた行くことはできないだろうそれに書かれていても実行できるとは限らない、だから俺は上層部なら何か知っているのではないかと期待を少しだけもった。
「健二」
「はい?」
「此処でいいよ」
「分かりました」
上層部がいる場所は秘匿とされているだから陰陽師としての位が高いある程度の人間しか場所は知らない、だから健二も知らない。
俺が車からで出たのは人が少ない夜道そこを暫く歩くとひっそりとある神社に着いた
ここには強い妖気が詰まっている。
此処に来れば普通の人間が来れば自然と心身ともに疲れが取れエネルギーが有り余るとされる神聖な場所でありこんなにも聖な妖気があればどんな怨霊も近づくことすらできないだろう
「お待ちしておりました」
「どうも」
こいつは上層部の使いの人間なのだがこういう仕事は一般人から無作為に選ばれてそこからは国の指示で陰陽師の仕事を続ける事になるのが定期的に変わり陰陽師について話すことは禁じられ時には短期バイトで雇われて何も知らない人が案内役になる事があったりするので実際どの様に、どんな人が選ばれているのか分からない。
今回は三十代くらいの女性だった
女性についていくと神社の中の奥に通されて女性はテレビドラマでよく見る隠し扉のような扉にパスワードを入れた
「私はここまでですので」
「分かった」
恐らく女性も中にどんな人間がいるのか分からないのだろう、それにパスワードも数分単位で変わるのだろうと思った
扉から暫く歩いた所にまた扉がありそれを開けて中に入る
中は薄暗く青色のライトに照らされて顔は見えないが五人の人間が椅子に座っていた
「よく来た、安倍太一」
「なんだかんだ言ってあんたらに会うのは始めてか」
「初めましてにしては随分となめた態度だな」
「まあまあそんなに怒らんで」
「そうは言ってもこんなクソガキになめられたら我々の威厳と言うものがなくなるな」
「いいんじゃない?私達の事を敬うばかりの若者ばかりでもつまらないだろう」
なんか最初のあいさつで俺は失礼極まりない若者と言うレッテルを張られたみたいだ
「そっちで盛り上がってる所悪いんだけど、こんな所に長居すると気分が悪くなりそうだから早く要件を言ってもらえないかな?」
「君が我々に対してあんまり良い印象を持っている訳ではないことは分かったが今は一刻を争う」
「そうですね、でもこいつがあの安倍晴明の血を引いているとは言え果たして使えるかどうか」
「まあ様々な当主からの推薦もありますし大丈夫でしょう」
「安倍太一、君は卑弥呼の千里眼をコピーし未来を見たそうだね」
「ああ」
「その未来は昼間なのに人一人もいなく怨霊が沢山のうろついていたと」
「そうだ」
「では君にはその調査を頼もう」
「調査?」
「はい、日本から出て海外で修行を積み情報をもらってきてください」
「は?」
「話はこれで終わりです」
「ちょっと待てただでさえ六畳御息所に対してどうしようもない状態なのになんで俺が」
「だからです」
「ん?」
「今現在六畳御息所に対抗できる陰陽師は日本にいません」
「そういうことだ」
「六畳御息所は周りの妖力を吸い取り自分の力にしそして術も使えるようになってしまうそうです」
「そんな怨霊が」
「君にそっくりだね」
「ふざけんな」
「軽い挑発に乗るのも直すくるんだよ」
「馬鹿にしてるのか?」
「まあね」
だからこいつらは嫌いなんだ、それに色んな場所から声が聞こえるから気持が悪い。
「君と六畳御息所には共通点がある、そして君には六畳御息所に興味を持たれているこれは間違いない」
「だからお前には力をつけて帰ってくるようにしてもらいたいんだ」
「海外ってどこだよ」
「ヨーロッパやアジアそしてアフリカだ」
「殆ど全部じゃねえか」
「期間は取り敢えず二ヶ月だ」
「学校はどうするんだ?」
「とりあえずは他の陰陽師に任せましょう」
「分かった」
「意外と素直だね」
「前に六畳御息所に会った時に今の俺じゃあ太刀打ちできないことが分かったからな」
「ではあと二、三時間の飛行機ですので直ぐに向かってください」
「時間ないだろうが」
急いで外に出て健二の車まで走る。
「本当にあの青年が水龍や九尾を使役出来ているのだろうか?」
「まあ、映像データには使役できているみたいだから大丈夫でしょう」
「いくら強い式神使役できても六畳御息所には意味がない」
「分かっていますよ」
「それに妖力を吸われ術を無限に使えるとなると世界中のどの術者を合わせて数で攻めても意味がないどころか六畳御息所に有利になってしまうでしょう」
「後は安倍太一の高校が狙われなければいいんですが」
「まあそれは現状最強の陰陽師に任せましょう」
「安部太一が術式展開を使える状態で帰ってきてくれればいいのですが」
「術式展開ですか」
「日本で使えるのは一級陰陽師の二人だけですしね」
「いい加減安倍太一も一級に上げてあればいいのに」
「力をつけてまだ一年足らずでは他の陰陽師と経験が違う」
「そうですね、それに他の人間の世間体もあるし」
「ではこうしましょう」
「ん?」
「彼が後二ヶ月の間に術式展開を身につけたのであれば一級陰陽師にすると」
「まってくれ、まだ級もない陰陽師だぞ!!」
「いいではないか、今の我々では太刀打ちできないしそれに六畳御息所に対象できるのは彼しかいない、今我々日本術者協会は変わる時期なのかもしれない」
「では、決定と言うことで」
太一はこんな会話を上層部がしていることなんて知らず健二が待つ車に乗った
「おかえりなさいませ」
「取り敢えず急いで家まで向かって」
「かしこまりました」
「なんだか面倒な事になったよ」
「それは海外に行と言われたことですか?」
「なんで知ってるんだ?」
「先ほど協会の方からチケットを渡されたので」
「行先は?」
「アメリカです」
「まずはアメリカか」
「はい、明日の朝一の飛行機なので早く準備しないとですね」
「明日?」
「はい」
「ちょっとチケット見せて?」
渡されたチケットには確かに明日の朝一の飛行機だった
「騙された」
「はい?」
「いやなんでもない」
「そうですか」
家に帰ったら先ずは荷造りを始めた
「まず何処から始めようか?」
「そうですね」
「必要なものだけだとなにか遭った時に困るからな」
「と言ってもキャリーケース何個も持っていくわけにはいかないでしょう」
「甘いな健二」
「はい?」
「俺の術を使えばいくらでも物を持っていける」
「その術とは?」
「物を空間から出し入れできる術だ」
「早く言ってくださいよ」
「それにこの術を拡張すれば行った事のある場所に行けるし原理を理解できればなんでもな作れる」
「解説はいいので口より手を動かしてください」
「せっかく解説してたのに」
「早くその空間に物を詰めてください」
「分かってるよ」
「ああ、でも必要最低限の物はキャリーケース一個に入れてくださいね」
「なんで?」
「手ぶらで空港出入り出来ないでしょう」
「そっか」
そんなこんなで荷造りは何時間も行われ時刻は深夜の一時になっていた
部屋で寝る準備をしていると電話が鳴った
相手は小鳥遊だった
「どうしたこんな夜中に」
「なんだか声が聞きたくて」
「は?」
「いいじゃん」
「俺は小鳥遊の彼氏でもなければ友達でもなんだぞ」
「友達でしょ」
「いつから?」
「そんなの友達ってお思えばいいんだよ、その感じだと本当に友達が居なかったんだね」
「余計なお世話だ」
「まあいいじゃん同じ部活のよしみだし」
「まあいいけど」
「課題終わった?」
「まあ」
「本当?いつ?」
「もらったその日に」
「じゃあ夏休み入る前に終わってたの?」
「ああ」
「ずるい!!」
「ずるいもないもない、あんなの直ぐに終わらせない奴の気が知れない」
「そんな言い方ないじゃん」
「あのな、第一俺は忙しいんだ」
「そうなの?」
「中学生の時は長期休みがあれば日本を飛び回って怨霊と戦ってたんだ」
「そうなんだ」
「分かったら小鳥遊も早く終わらせろよ」
「うん、じゃあ今度の部活どうする?」
「それな、夏休みいっぱい小鳥遊一人でやってくれ」
「なんで?」
「俺は夏休み終わっても日本に戻れそうにない」
「なんで?」
「陰陽師の仕事で海外に行くことになった」
「何処に?」
「えーと、ヨーロッパとアジアとアフリカだな」
「広すぎる、それいつ帰ってこれるの?」
「分からない、期間は二ヶ月とは言われてるけどそれまでに帰ってこれる保証はないな」
「私一人で部活出来ないよ」
「それはなんとかしろ」
「なんとかってなによ?」
「それは小鳥遊が決めることだ、でも無理はするな」
「課題くらい頂戴よ」
「課題か」
「うん」
下手に怨霊に近づけるわけにはいかないしどうしたものかと考えらこんでいると
「太一君の陰陽師の師匠はどんな人?」
「師匠か」
「うん」
「叔父かな」
「そうなんだ」
「じゃあ叔父の所へ行って来い」
「え?」
「陰陽師の世界がどんなものか聞いて来い」
「本気で言ってる?」
「うん」
「叔父さんの所へ行った所で私にはなにもできないよ」
「そんなのはなから期待してない」
「ちょっと酷くない」
「世界を知っているか知らないかでは天と地くらいの差があるんだ」
「そうなの?」
「陰陽師の世界では特にな」
「そこまで言うなら」
「俺がいなくても自分を守る術を身につけろ」
「術」
「例えそれができなくてもどんな怨霊が出てきても対象できるくらいになってみろ」
「分かった」
「じゃあもう遅いから切るぞ」
「うん、おやすみ」
「ああ、無理はするなよ」
「分かった」
電話を切った後に少しだけ後悔をした、簡単な結界術などはセンスがあれば一か月も鍛錬すれば出来るが六畳御息所に遭遇したら守りきれるかどうか。
後は俺が術式展開を身につけなければいけない。
「太一様、まだ起きてらっしゃいますか?!」
「どうした?」
下からでかい声で呼ばれたので何事かと思いリビング駆け込んだ
「今協会の方から連絡がありまして」
「どうした?」
「明日飛行機の時間の前に鴨氏に会えと」
「なんでまた」
「分かりませんでもどうしてもと言うことでして」
「分かった、っていうことはそんなに寝れないじゃん」
「そうですね、早く寝てください」
「分かった」
直ぐにベットに横になって寝ることにした。
欠乏霊媒師 やと @yato225
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。欠乏霊媒師の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます