第21話千里眼
「太一君は今日もずっと部屋に引きこもってるんですか?」
「まあいつもの事ですから」
「いつも?」
「はい、何かと新しい術を見つけたり開発し始めると部屋から出てこないんです」
「なんか新しい玩具買ってもらった子供みたいですね」
「そうですね、それより小鳥遊様はお家の方は大丈夫ですか?」
「うん、友達と一緒に京都に行ったって言ったしお土産も喜んでくれたよ」
「そうですか」
「流石に男の人と旅行だって事は言えないですけどね」
「そうですね、そう言えば小鳥遊様の幼少期はどんな感じだったんですか?」
「私の小さい頃?」
「はい、幽霊が見えるって幼い頃では相当のストレスでしょう」
「そうですね、それこそ幽霊か生きてる人か違いが分からない時は父や母だけじゃなくて使用人まで外ではこの事を話してはいけないってよく言われてました」
「そうですか、やはり我々のように当たり前に向き合っている家系ではないと理解はしてもらえないでしょうね」
「そうですね、そのせいで仲間外れにされたりと色々ありました」
「大変でしたね」
「はい」
小鳥遊がココアを飲んで重い空気が流れた瞬間に上の部屋からガコンと鈍い音が響いた
「なに?」
「行きましょう」
二人で太一の部屋へと行き扉を開けると太一が倒れていた
「太一様!!」
「太一君!!」
太一の目の下にはクマが出来ており机には食事が並んでおり食事も取っていないのが分かった
「大丈夫?」
「寝てるだけですね」
「え?」
「多分食事もろくにとらずにずっと作業していたんでしょう」
「全く心配かけさせないでよ」
「本当ですね」
「起きたら説教ですね」
「そうですね」
太一をベットに寝かせて下に戻りまたゆっくりと課題を始めた
「そう言えば太一君は課題終わってるのかな?」
「さあ?あの様子だと終わってないでしょうね」
「太一君って最後まで溜めるタイプ?」
「いや普通に直ぐに終わらせる方だと思うんですけどね」
そうして午後十七時を回った時に小鳥遊は帰ろうとした時だった
二回から太一が降りてきた
「よく寝たー」
「太一様、何やってたんですか?」
「いやいやちょっとさ術をコピーして使ってたんだよ」
「体にはあれだけ気を付けてって言いましたよね」
「まあそれはな」
「本当に人の話を聞かないんだから」
「それで術のコピーってどんな?」
「卑弥呼の術だ」
「卑弥呼?」
「ああ」
「卑弥呼って邪馬台国の女王っだよね?」
「他にどんなのがいるんだ?」
「そっか、で卑弥呼ってどんな人だったの?」
「小鳥遊って高校生だよな」
「そうだけど」
「だとしたら勉強不足だな」
「うるさいな」
「卑弥呼は邪馬台国の女王で日本で初めて国を収めたと言われてるんですよ、それに卑弥呼は宮殿に籠りっぱなしで滅多に人前に出てこなかったと言われています」
呆れる太一に変わって健二が解説をする
「そうなんだ」
「だから卑弥呼に関する記述などは殆ど残ってないんだ」
「じゃあどうやって術をコピーしたの?」
「遺体が安置されてた場所で色々と情報を得たんだ」
「遺体って邪馬台国も見つかってないのにどうやって辿り着いたの?」
「それは国家秘密だ」
「え?」
「この世には普通に暮らしていると一生かけても知る事ができないものも存在するだ」
「要は知らない事があった方が良いということですね」
「そうなんだ、で卑弥呼の能力はコピーできたの?」
「ああ」
「どんな能力だったの?」
「千里眼だ」
「千里眼?」
「簡単に言うと未来が見えるって事だ」
「まじ?」
「ああ」
「千里眼ってなに?」
「本当に勉強が出来てないな、それでよく高校生になれたものだ」
「さっきから馬鹿にしてるけどこんな事普通は学ばないから」
「まあまあお二人ともそんなに怒らないで、千里眼は将来の物事や人の心の奥底を見抜ける能力だと言われています」
「最強じゃん」
「でも全能ではない」
「え?」
「多少の未来が見えるだけで使えば体への負担が大きすぎるそれに使い続けると最悪失明する」
「そんなに危険なものなんだ」
「それで気を失う前に使ってみたら案の定ぶっ倒れた」
思わず笑いが出てしまったがここは笑う所ではなかったようで健二は本気で怒った顔をしていた。
「悪かったってもう倒れるまでやらないって」
「それから?」
「え?」
「それからご飯をちゃんと食べてください」
「はい」
「なんだか健二さんが太一君に怒るの珍しいですね」
「これまじ怒り」
「はぐらかさないでください」
「悪かったって」
「じゃあ早いですけど晩御飯の準備しますね。小鳥遊様もどうですか?」
「私は家に帰って食べるのでもう帰ります」
「そうですか、では下までお見送りを」
「ああ、それなら俺が行くよ」
「分かりました」
「それじゃあまた」
「はい、お気を付けて」
「お邪魔しました」
「よし、行くか」
「うん」
家を出てエレベーターで下まで行く
「それじゃあまたね」
「ああ」
小鳥遊がドアを出る所まで見送る
「小鳥遊!!」
「なに?」
「その、気を付けろよ」
「うん、じゃあね」
「ああ」
「天空起きてるか?」
「なんだ?」
「小鳥遊に付いてやってくれ」
「分かった」
「小鳥遊様は大丈夫でしたか?」
「ああ、天空についてもらったから」
「そうですか、さあ晩御飯にしましょうか」
「健二」
「なんですか?そんな神妙な顔をして」
「卑弥呼の能力を使って未来を見た」
「それはどんな未来でしたか?」
「人間が居なくなった未来だった」
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