第7章 22話 淡くかがやく誘宵の月の夜に①

 うす青いの闇に淡黄色あわきいろの星が輝いている。


 ムーナサリアの祭りの夜は、昨日よりも更に美しかった。

 街の皆は、最終日を惜しむように華やいでいる。


 霊力の明かりは、風に乗るように流れて街を照らしている。


 ゆん菜は優夜と空を眺めていた。


 優夜と見る灯火は、泣きたくなるくらいきれいだった。


 優夜とゆん菜は、祭りでほんのり明るい丘を登っていく。


 ゆん菜は白くて裾が足首まである、レースがふわふわのワンピース。

 優夜は正装に近い白い服を着ていた。上着には淡黄色の糸で刺繍がしてある。


 優夜には一番似合う色合いだ。ただ、優夜は人目を気にして外套で顔を隠していた。


 今夜はメイメイもおめかししていた。ゆん菜は尻尾にリボンを、優夜はペンダントを用意した。


 メイメイはキュンキュンと喜んた。


 丘を登りきると、優夜はゆん菜に手を振る。東側にある林に向かった。


 ゆん菜は思わず、優夜の服の裾を掴んだ。


「ね、ねえ、優夜先輩」


「どうしたの? ゆん菜」


 優夜は心配気に顔を覗き込んでくる。


「本当にはぐれるの?」


「う……、ん。だって離れないと、誘宵の月は祝福をくれないよ」


「でも……」


 昨日の夜、あんなことがあったばかりだ。もう一瞬でも離れるのは怖い。


 誘宵の月の伝説みたいにうまく行くか分からない。離れたまま、二度と会えない気がする。

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