第6章 9話 森の中の銀色の刃③

 枝葉で身を隠すようにして、シャルアが立っていた。まるで風のように人らしい気配を消している。


 透明な空間で、シルバーアッシュの髪が揺れていた。


 ナイフ使いっ……?!


 一瞬、ぼんやりしてしまったゆん菜の頭に、ナイフ使いの姿が浮かぶ。


 鼓動が大きく波打った。


 だが、ナイフ使いはいつの間にかいなくなっていた。ゆん菜が一人ではなくなったからかもしれない。


「青い霊力?」


 どこからか、そんな声がした。


 シャルアの近くには人が集まり、ざわめきが起こっていた。


「ねえ、今のは幻青色?」


 エスミナが顔を強張らせる。さっきのシャルアの霊力が見られてしまったらしい。


「まさか、召喚者がいるの?」

「そんなわけないよね。いつも隠れている召喚者が祭りに来るなんて」


「もしかして、王族の演奏会を襲うつもりなんじゃ……」


「まさか。私は召喚者は、そこまで悪人じゃないと思うよ」


「衛兵さーん」


 一人の少女が両手をあげて、衛兵を呼ぶ。


 舞台の警護をしていた衛兵が走ってきた。

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