第4章 46話 いつかまた仕える日③

「優夜先輩……」


 ゆん菜はそっと優夜のとなりに立った。一緒に夜空を見上げた。


 静かな闇にたくさんの星が瞬いている。


「今夜の星は……」


 いいかけて、言葉を止める。優夜は想像以上に堪えているようだった。


 従者というより友人のようなエレミアさんたち。


 離れて生きるのはやっぱり淋しい。


 それに、彼らがいなくなったのは自分のせい。優夜はきっとそう思っている。


 ゆん菜は優夜の手を引き、一緒にベンチにすわった。


 星の光が降ってくる。


 涙のように、うす水色をした澄んだ光だ。

 光が優夜を包み込む。優夜の髪が、うす水色に小さく光る。


「ねえ、……優夜先輩は、オルージェさんたちといつどんな風に知り合ったの? 想い出話が聞きたいな」


 優夜はふしぎそうにゆん菜を見る。目を細めて微笑んだ。


「みんな貴族だから、前から顔は知っていたよ。でも親しくなったのは、夜会や舞踏会で顔を合わせるようになってから。気が合って、自然と集まったんだよ」


「それ、なんとなく分かる。みんな親友みたいな空気があったよ」


「公務のあと、俺の部屋に集まったよ。国務について勉強したり、遊んだり。楽しかったな」


 夜の星の下、みんなで集まってわらい合う。幸せそうな優夜が目に浮かんだ。


「幸せな時間だったんだね。その時間、早く取りもどそうね」


 ……ゆん菜はエレミアたちがどう見えた?


 ……幸せそうだった?


 ……みんな、優秀だったんだよ。将来を約束されていたんだ。


 目を閉じて、優秀はつぶやく。


 いろんな想い出話を聞かせてくれた。


 優夜はもたれかかってくる。やがて、眠ってしまったようだった。

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