第4章 45話 いつかまた仕える日②

 うつむいたゆん菜に、エレミアは優しくわらう。


「焦る気持ちは分かるけど、ゆっくり行きましょう。マリーユナさまの才能なら、いつか必ずできるようになりますよ」


「ありがとうございます。そうだ。わたしを召喚してくれたのもエレミアさんなんですよね。あのときは本当にありがとうございました」


「いえ。大役を頂いて光栄でしたよ」


「私も進んで協力したんですよ。外来族問題は神官として心が痛いですから」


「生物学者としても大問題です」


「みんな、もうその辺で……」


 さらに口を開こうとしたエレミアたちを、オルージェが制する。


「もう帰ろう。もし、誰かに見られたら、ミシュアーナさまたちに迷惑がかかる」


「そうですよね」


「では、ミシュアーナさま。また……」


 エレミアと優夜がペンダントに霊力を注ぐと、霊石が光り始める。


 オルージェたちが光に包まれた。


「ミシュアーナさま、マリーユナさま。どうか心安らかにお過ごしください」


「早く、またミシュアーナさまに仕えられる日が来ることを祈ってます」


 やがて、オルージェやエレミアの姿は見えなくなった。


 優夜はエレミアたちが消えた場所をずっと見つめていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る