第4章 41話 ずっと待っていた⑤

「私たちは、ミシュアーナさまの元従者です。追放された身ですが、曲げてミシュアーナさまを訪ねさせてもらいました」


 ゆん菜は返事に困った。


 噂で聞いたから、エレミアたちが事件を起こして追放になったことは知っている。

 だが、優夜が傷つくだろうと訊けなかった。


 エレミアは自分たちのことを話し始めた。


 エレミアたちは召喚者をムーナサリアで保護するための法律を作ろうとしていた。


 長い時間をかけて原案をつくり、審査、審議を経て、あとは王の承認を得るだけだった。


 だが、当日に召喚者とムーナサリア人の揉め事が起き、王はいきなり承認を拒否した。


 抗議したエレミアたちに王は剣を向けた。


 オルージェが王の剣を払ったとき、王が軽い怪我をした。それでオルージェたちは国外追放になった。


 エレミアはゆん菜に、そう話してくれた。


「それで、ミシュアーナさま」


 ふいにオルージェが切り出した。


「あの追放時のことをミシュアーナさまは覚えてらっしゃいますか?」


「どういう意味?」


「あのときのことで、ミシュアーナさまにお伝えしたいことがあって、私たちはここに来たんです。あの出来事はなにかおかしいんですよ」


 オルージェの声は緊張を孕んている。

 優夜は居住まいを正し、オルージェに向き直った。

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