第4章 39話 ずっと待っていた③

「本当に、よく異世界に来てくださいました。マリーユナさま」


 オルージェはゆん菜にお辞儀をする。近衛らしい、隙のない動きだ。


「違い過ぎる文化に苦労が多いでしょう。感謝します」

 

「感謝?」


「ミシュアーナさまの願いを聞いて、この世界に来てくれたことです」


「ミシュアーナさまは、恋の相手が異世界にいて逢えないことにずっと苦しんでいました。だから私たちは協力して、貴女を召喚する計画を立てたんですよ」


「マリーユナさまはミシュアーナさまを救ってくれましたから。お会いできて本当にうれしいです」


 救う……。

 救われたのは、わたしのほうだ。


「ミシュアーナさまと同じように、貴女がずっとミシュアーナさまを思っていてくれたことがうれしいのです」


「ミシュアーナさまとマリーユナさまに、神の御加護がありますように」


 神官のフィナモが続けた。


 ゆん菜はちらっと優夜を見た。


 優夜はひたすら、オルージェたちを見つめている。


 側近たちが無事でいてくれた。


 優夜は本当に救われたような目をしていた。

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