第4章 36話 優夜の再会③

「え? ゆん菜。どうしたの?」


 優夜は仕立てのいい服を着ていた。


 王子のときの服装だ。しわのないしっかりした生地の感触が手のひらから伝わってくる。


「ゆ、優夜先輩っ。外に誰かいる……」


「え?」


 優夜はすばやくゆん菜を背中に回した。


 霊力を放つ。ゆん菜は優夜の霊力の、月色の光に包まれた。たぶん、防御の効果がある霊力だ。


「見てくるから、ここで待っていて。ゆん菜」


「え?」


 ゆん菜は目をむく。


「で、でも危ないよ。ここでいなくなるのを待とうよ」


「だいじょうぶ。なにかあったら避難部屋に行くよ。そうだ。ゆん菜は先に避難してて」


「でも……」


 優夜はカーテンの影から、外の様子をうかがう。すると、花壇の向こう側が淡黄色に輝いた。


 結界が解かれたのだろう。光の中から誰かが出てくる。ゆん菜は悲鳴を押し殺した。


 だが、優秀の反応は違った。彼は驚いたように背中を震わせた。


「オルージェ?」


 かすれた声でつぶやく。優夜は窓を開けた。


 聞き覚えのある名前だった。前に追放になった、優夜先輩の側近だ。


 オルージェは窓の前まで来ると、地面にひざまずいた。

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