第4章 35話 優夜の再会②

 なにかがいつもと違う。ゆん菜は霊力を集中させた。


 庭を囲む立木の辺りに、なにか結界のような不安定な空間を感じた。それが風を遮ったようだ。


 ……誰かが結界を張って潜んでいる?

 背中から震えが広かった。


 ゆん菜はドアを乱暴に閉めて鍵をかける。


 ど、どうしよう。

 もしかして、ナイフ使い? ハルヴィン王子?


 でも、彼らだとして、なぜ結界を張るんだろう。結界を張る目的は普通、身を隠すためか防御だ。


 ハルヴィンたちにそれが必要だろうか?


 ゆん菜は自分の部屋に駆けもどって毛布を被った。クローゼットから長いハンガーを取り出して、武器の代わりに構える。


 本当はもっと長いホウキかなにかがあればよかったが、ホウキは物置だ。


 そのとき、優夜の部屋のほうで物音がした。


 優夜が帰ってきたらしい。


 ゆん菜はハンガーと毛布を放り出して、優夜の部屋に駆け込んだ。


「ゆ、ゆ、ゆ、優夜先輩っ。優夜先輩……っ」


 叫びながら、優夜の背中に飛びついた。

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