第4章 29話 月灯石の光の回廊で②

 城は全体が白い壁で、尖塔だけが月色だ。尖塔の屋根は月灯石でできている。


 城が苦手なゆん菜でも、美しいと思ってしまう王城。まるで月の光でできているようだ。


 月灯石は、光を周りに乱反射するようにできている。晴れた日に陽の光が当たると、月色の光が白い壁に映るのだ。


 きらきらと乱反射する月灯石からの光が、白い壁で揺れる。そして壁は月色に染まる。


 もし陽射しがもっと強かったら、全体が月色になるだろう。異世界らしいふしぎで美しい城だった。


 ゆん菜たちは教師役の聖女に続いて、回廊を歩く。


 どこからかクラッシックのような音楽が聞こえた。


 回廊にはアーチのような柱が並んている。

 建物側はステンドグラスだ。

 

 華やかすぎて目眩がした。


 ちょっと前までは、あの穏やかな村でのんびり暮らしていた。こんなところに来ることになるなんて想像していなかった。


 ゆん菜は足を止めた。


 全身が総毛立った。


 回廊の向こうから、ハルヴィンとラヴィエが歩いてきたからだ。

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