第4章 30話 月灯石の光の回廊で③
ハルヴィンも、聖女たちの列に気づく。
ゆん菜は縮み上がった。
「ご機嫌よう、ハルヴィン王子」
教師役の聖女は立ちどまり、ハルヴィンにお辞儀をする。見習い聖女たちも後に続いた。
「めずらしいね。今日はどうしたの?」
「衛兵の皆さんとの合同実習で、登城を許されました」
メイメイが毛を逆立てて、ポケットから出てきた。
ゆん菜はメイメイに目隠しして、サッと柱の影に隠れた。相手が見えなければ、メイメイは落ち着く。
ゆん菜はポケットの入口を開けて、指で示す。メイメイは仕方なさそうにポケットに潜り込んだ。
守護獣のときと違って、メイメイは過剰にゆん菜を護ろうとはしない。
「でも、いつもありがとうね、メイメイ」
このまま隠れていて、ハルヴィンが通り過ぎるのを待とう。
息を殺して、ゆん菜はじっとしていた。
誰の足音も聞こえなくなったとき、様子を伺おうと顔を出した。
「なにやってんだ、お前」
いきなり、背後から声がした。ゆん菜は悲鳴をあげて飛び退いた。
つややかなダークブラウンの髪、蔑むような冷たい瞳。あのときのままのハルヴィンが目の前にいる。
あの晩の恐怖が蘇り、気分がわるくなってきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます