第4章 31話 月灯石の光の回廊で④

「あり得ないな……。召喚者が王城に入り込むなんて」


 苦々しく、ハルヴィンはゆん菜を睨む。


 ゆん菜は身を翻して走り出した。後ろからハルヴィンに襟元を掴まれた。


「は、は、放してくださいっ」


「なんだ? その服装は。お前、聖女になるつもりか? ……宮廷聖女を目指すつもりじゃないだろうな」


 すーっと、ハルヴィンは目を細める。


 いじめ殺すぞ、と、低くつぶやいた。


「ミシュアーナのために、投獄も処刑もしないでやる。でも、いじめるぞ?」


 投獄、処刑……。


 メイメイがポケットの中でキーキー暴れる。ハルヴィンを攻撃したいのだ。ゆん菜は落ち着くように何度も繰り返す。


 メイメイはだんだんと大人しくなった。


「秘密も守ってやるよ」


「秘密?」


「お前が召喚者だと知ってるのは、王族とミシュアーナの側近だけだ。ミシュアーナのために秘密にしてやる。……でも、陰でいじめるぞ?」


 それが嫌なら城から出てけと、ハルヴィンはゆん菜を見下ろす。

 

「いじめていじめて、いじめ殺すぞ? 表では罰しないけど、陰で抹殺するぞ? 闇に葬るぞ?」


 ゆん菜は涙が出そうになった。

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