第4章 24話 ムーナサリア王の帰城③

「落ち着きましたか? マリーユナさま」


 カナルが二杯目のお茶を差し出した。リラックス効果があるハーブティーだ。


 カナルの母親が育てたハーブらしい。本当によく効いた。ゆん菜の心は少しずつ穏やかになった。


「そう。召喚者のために法を……。だから、味方を増やしたいんだね」


 エスミナは感嘆するように息をついた。


「そこまで考えてくれてたなんて……。ありがとうね。マリーユナ」


「考えたのは優夜先輩で、わたしじゃないけどね」


「王子さまには、もちろんすごく感謝してるよ。でも、ユナだって今がんばってくれているでしょ?」


「うん。自分と、召喚者のみんなのために」


「でも、さすがミシュアーナさま。人道的よね。評判がいいのよ。頭もよくて頼りになるって国中から慕われているわ」


 優夜は元の世界でもそうだった。優しくて頭がいい。


「将来が楽しみってみんないってるわよ。歴代の名君に並ぶよ、きっと。……でも、いいの? ゆん菜」


「なにが?」


「王族の中に味方をつくるって話。だってあんなに怖がっていたのに」


 エスミナの言葉で、途端に悪寒が走った。ごまかすようにゆん菜はわらう。


「だ、だいじょうぶよ。わたしがんばる」


「無理しないでいいよ、ユナ」


「そうですよ、マリーユナさまと、ミシュアーナさまの幸せが一番なんですから」


 カナルは必死な目で、またお茶を渡してきた。

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