第4章 23話 ムーナサリア王の帰城②

「怖いですよね、あの王は」


 メイメイを撫でながら、カナルが苦笑いする。


「みんなに恐れられていますよ。側近たちにまで。完全に暴君に見えますが、賢王といわれていますよ。召喚者の人たちにとっては違うでしょうが……」


「今のメイメイへの霊力はなんですか?」


「心を穏やかにする術です、エスミナさま。私の母から教わったんですよ。母は癒やしに詳しいんです」


「無理……」


 気がつくと、ゆん菜はつぶやいていた。


「マリーユナさま?」

「どうしたの? ユナ」


「無理、絶対に無理……。感電したよ」


 勝手に言葉が出ていく。


「感電ってなに? それ、元の世界の言葉? しっかりして、ゆん菜」


「般若……、般若って女子だっけ? でも、やっぱり般若。近づいたら落っこちるよ……」


「般若って? だいじょうぶだよ。ミシュアーナさまがついてるでしょ?」


「王さまはああでも、王妃さまがいますよ。王妃のリアナディーテさまは優しい方です。ミシュアーナさまは王妃さまに味方になってもらおうとしてますよ」


 なんとか、召喚者のための法を作ってもらいたいと思っていた。


 でも、アレが叶えてくれるだろうか?

 太刀打ちできない。近づいただけで通電しそうだ。


「闇の中で黒こげだよ」


 どんどん言葉が出ていく。またつま先から震えが来て、目の前が暗くなった。

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