第4章 18話 ゆん菜の護衛⑥

 ムーナサリア人が召喚者を呼べは、普通は相手を大事にする。


 友達や恋人など、必要としている人間を呼ぶ。相手の意思だって確認する。


 だが、そうでない場合もある。


 シャルアは奴隷として召喚された。そして、霊力があまり強くないと知れると、すぐに捨てられた。


 シャルアが前にいた世界はゆん菜と違い、ムーナサリアよりも文化が進んでいない国だった。


 働き方も分からないから街では暮らせず、シャルアは森の中で生きてきた。何度も兵士に追われ、瀕死の重症を負ったこともあった。


 数年後、幻青族と出会うまで、ずっと一人だった。


「シャルアはマリーユナには会いたいみたいなのよ。やっぱり力になりたいんだって」


「強い人だね。シャルアさんは」


 エスミナは頬を染めた。彼のことになると、エスミナは本当にいい表情をする。

 いつもは無表情なシャルアも、エスミナにだけは熱のこもった目をする。


 きっと両想いなのだ。


 でも、まだつき合ってはいないらしい。


 ……シャルアは強く生きている人なの。その強さに見惚れてしまうの。


 いつか自分がシャルアに似合うくらい強くなれたら告白したい。


 エスミナはそういっていた。


「カナルさま、いつもユナを守ってくれてありがとうございます」


 エスミナはカナルにお辞儀をする。


「訪問、ありがとうございます。エスミナさま。では、みんなで王城の庭園に行きましょう」


「庭園、すごいっ。今日はそんないいところに行くのねー」


 エスミナは足を弾ませた。

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