第7章 20話 ゆん菜と優夜の居場所②

 ナイフ使いは淡黄色の髪に黒い瞳をしている。


 若い青年の姿をしていた。初めて顔を見た。


 星空を連想する姿だ。表情はほとんどなく、その瞳はなにも映していないように感じる。


 本当に人ではないように見えた。ハルヴィンの、淡灯官は人じゃないという言葉が思い出される。


 ……やっぱり、ナイフ使いが本当に淡灯官?


 彼はゆん菜にナイフを向ける。


 優夜が霊力を放つ。ナイフ使いを霊力の糸で拘束した。


 メイメイがゆん菜のポケットから飛び出す。狼の姿になり、ナイフ使いに牙を剥いた。


「だいじょうぶだよ、メイメイ。落ち着いて」


 ゆん菜は、あわててメイメイを抱きしめた。


 ゆん菜は目をみはった。


 ザッハジルア王は、優夜とメイメイを拘束したからだ。


 ナイフ使いは、今度は優夜に刃を向ける。


 ゆん菜は優夜に覆いかぶさった。ナイフ使いに、捕縛の霊力を向ける。


 だが、すぐにザッハジルア王に破られた。


 何度捕縛してもだめだった。


 逃げ回るゆん菜を、ナイフ使いが追う。ザッハジルアは瞬きもせずに、ゆん菜と優夜たちを見つめていた。


 やがて、王は立ち上がり、淡灯官に一礼する。


 ナイフ使いは動きを止め、玉座のとなりに立った。


「国民の意志は確認した。やはり召喚者は投獄だ」


「国民の意志?」


 優夜が問うような目をする。


「淡灯官は人じゃない。霊石の力で、民の意志を具現化した存在なんだよ。そうですよね、父上」


 ザッハジルアはハルヴィンの言葉に答えない。


 ザッバジルアはもう一度、優夜に捕縛の霊力を放つ。その糸を、今度はハルヴィンが切った。


 ハルヴィンは静かな瞳で、ザッハジルアに向き直った。

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