第7章 19話 ゆん菜と優夜の居場所①

 ザッハジルア王は、そこにいるだけで、肌がぴりぴりするような威圧感があった。


 優夜の姿を見るなり、ザッハジルアは彼に歩み寄る。大きく手を振り上げて、優夜を平手打ちした。


「なぜ、淡灯の間に入った? なぜ王子が法を守らない?」


 彼はもう一度、優夜をなぐる。


 次に、ザッハジルアはゆん菜に目を向けた。


「召喚者だな?」


 ザッハジルアは手を淡黄色に光らせ、霊力を放つ。あっという間にゆん菜は霊力の糸で縛り上げられた。


 ゆん菜は怖くて声も出ない。


「心の準備をしておきなさい」


 優夜がザッハジルアとゆん菜の間に割って入った。

 優夜は霊力を発し、ゆん菜の糸を切る。ザッハジルアに深く頭を下げた。


 ザッハジルアはなにもいわない。表情も変えなかった。


 優夜に背を向けと、ゆっくりと玉座にすわった。

 すわった彼は目を閉じる。淡黄色の霊力を放った。


 すると、淡灯の間から壁をすり抜けるようにして、人影が現れた。


 ナイフ使いだった。

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