第7章 9話 帰らない優夜とゆん菜の不安④

「ミシュアーナは、オレとラヴィエで捜してる。お前は帰れ」


「優夜先輩は……」


 優夜先輩はナイフ使いのところに行ったんだと思います。

 紺色の外套を着ていて、お城の関係者だと思います。心当たりありませんか?


 聞きたいが、相手はハルヴィンだ。


 怖くて口が開かない。


 自分で捜そうと、ゆん菜はハルヴィンの隣をすり抜けた。すり抜けようとしたが、ハルヴィンに後ろから襟を掴まれた。


「どこに行くんだよ」


「紺の外套の人を……」


「なにいってるんだよ。お前なんかが城をうろうろしたら、衛兵にすぐ捕まるぞ。空間移動で不法侵入だよな?」


「でも、今行かないと……」


 蘇るのは、前の世界での優夜のことだった。


 あの交通事故。優夜との別れ。


 一瞬、息が止まったようになった。

 体が震えて、ゆん菜は床に両手をつく。


 また、優夜がいなくなる。


 世界から消えしまう。


「お前、紺色の外套っていったか? それはこの国の淡灯官だけど、ミシュアーナと関係あるのか?」


「ハルヴィン王子は会ったことあるんですか?」


 淡灯官が誰なのかは王しか知らない。優夜はそういっていた。

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