第7章 8話 帰らない優夜とゆん菜の不安③

 優夜の部屋は灯りが消えて、静まりかえっていた。


 部屋はとても広く、品がある。高そうな調度類が置かれている。優夜はやっぱり王子さまだと実感する。


 空気が違う気がして、緊張してきた。


 ゆん菜は部屋を横切り、ドアに向かった。


 元々、ここにいるとは思っていなかった。カナルは、ここは一番に捜したはずだ。


 そのドアが、急に乱暴に開く。飛び込んできたのは、……ハルヴィンだった。


 ゆん菜は鳥肌が立つくらい驚いた。


 彼はゆん菜を見て、がっくりと片ひざを絨毯についた。


「物音がしたから、ミシュアーナ兄上が帰ってきたかと思ったぞ」


 なにやってんだと、ゆん菜を睨む。今は特にハルヴィンの冷たさが心に刺さる。

 ゆん菜は泣きたくなった。


「お前、ミシュアーナを捜しにきたのか? もしかしたら、兄上はお前のところかもと思ったけど、違うんだな」


 いない……?

 優夜先輩は、もしかして、王城にいない?


 目の前が暗くなった。


 どこにもいない。

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