第7章 7話 帰らない優夜とゆん菜の不安②

 この異世界は、ゆん菜がいた世界より、ずっと危険が少ない。


 でも……。


 たぶん、ナイフ使いのところに行った優夜先輩。それが、もどってこない。


 ……。


「もう無理だよ、優夜先輩」


 ゆん菜は立ち上がった。


 外出用の上着を羽織る。


 窓際のバスケット型ベッドで眠っていたメイメイが顔をあげた。ゆん菜のワンピースのポケットに飛び込む。


「外は危ないから、ここにいたほうがいいよ、メイメイ」


 いっても、メイメイは首を振る。


 ゆん菜は袖をめくって、霊石の腕輪を出した。

 霊力を腕輪に注ぐ。


 ちょうどそのとき、カナルが空間移動でもどってきた。


「え? マリーユナさま?」


 ゆん菜を見て目を見開く。


「だめです。もどってきてください。誰がユナさまを狙っているか分からないんですからっ」


「ごめんなさい、カナル」


「ユナさま。ミシュアーナさまが悲しみますっ」


 ゆん菜の体は淡黄色の光に包まれる。王城の優夜の部屋に空間移動した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る