第7章 4話 もう一度だけ……④
「ゆん菜……」
優夜はゆん菜を憩いの間にに連れていく。
並んでソファにすわると、もたれかかってきた。
カナルはそんな優夜を見て、そっと部屋から出て行った。
優夜はそのまま、眠ってしまった。
ゆん菜は涙が出そうだった。
わたしのせいだ。
「俺、王子を辞めてお城を出てもいいから」
しばらくして、目を開けた優夜はつぶやいた。
ゆん菜がいてくれたら、どこででも暮らしていける、召喚者でも暮らせる静かな土地を探す。
異世界って、人がいない土地って多いんだよ。
霊力があれば、大抵のことはできるよ。
優夜は夢を見るような目をしていた。
毎日、お互いだけを見て暮らして、夜は星や月を見て過ごす。
優夜先輩はまた絵を描くだろう。
わたしは霊力をあげて、家を結界で護る。
穏やかで、涙が出そうなくらい幸せだろう。
でも……。
「優夜先輩は、家族が大事でしょ?」
ずっと感じていた。
優夜先輩は前世で事故死して両親を悲しませから、今度は大事にしたいんだ。
「だからさ、今日だけ仮病で休まない? お城を忘れるどこかに遊びに行こうよ」
優夜は瞳をきらめかせる。愛おしそうにゆん菜の頭を撫でた。
「ありがとう、ゆん菜。もう一度だけがんばってみるよ」
『もう一度……』
優夜はゆん菜に優しく微笑んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます