第6章 4話 王族たちの音楽会①

 ああ、疲れた。


 ゆん菜は広場でベンチにすわった。


 でも、心地よい疲労だ。街のみんなは、ゆん菜の星空を喜んでくれた。


 ゆん菜が星空を灯すと、だんだんとみんなが集まってきた。


「見習い聖女さまたち、今年はこんな光の術を披露するんですね」


「星空なんて斬新ですっ。きれいです」


 助手にはなれなかったが、街の人の役に立てた。聖女の役目が少し果たせた気がした。


 早く優夜に報告したい。

 そしたら、一緒にホームパーティーを成功させて、誘宵の月を祝福をもらいに行く。


 太陽の位置を見ると、優夜との待ち合わせまでまだ時間がある。


 ゆん菜は林のほうに向かった。林沿いに広場の隅を歩きながら、辺りを眺める。


 改めて、祭りの風景を見つめる。


 風に乗るように流れていく、辺りを美しく照らす淡黄色の霊力の光。


 華やかな音楽。


 きれいでふしぎな異世界の風景だ。


 落ち着く場所で見たくなり、ゆん菜は川岸にある西洋風東屋のような建物に向かった。


 ムーナサリアらしく白塗りで、淡黄色の天然石で装飾されている。


 屋根は六角形だ。


 だが、ゆん菜は東屋の手前で脚を止めた。

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