第5章 27話 優夜の哀しみ③

「王太子関係の予算も止められそうですよ。ミシュアーナ王子は、予算の使い道が不透明だと」


「そう……」


「なにがあったのです? 私たちには話せないのですか? 私はミシュアーナさまに信頼されていれと思ってましたが」


 優夜先輩は、召喚者を救おうとしているとは、話せないのだ。


「もう、結構」


 なにも答えない優夜に、大臣は冷たくいい放つ。

 優夜は肩を落とし、階段を下りて行った。


「分かったか?」


 ハルヴィンは悔しそうに大臣を睨んでいた。


「ミシュアーナ兄上は、いつも叱責されている。このままだと廃太子だぞ」


「廃太子?」


「次の王になる権利が奪われるってこと。お前、ムーナサリアから出てけ」


 ゆん菜、黙り込む。涙が落ちた。


 メイメイがポケットから出てきて、キュンキュンと涙を拭く。


 メイメイの姿を見たハルヴィンは、焦ったように目を逸らす。


「ミ、ミシュアーナのことを想うなら、迷惑かけないでくれな」


 ハルヴィンはメイメイにハンカチを渡すと、階段を下りていった。


 メイメイはハンカチでポンポンとゆん菜の涙を拭いた。

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