第5章 25話 優夜の哀しみ①
「優夜先輩、優夜先輩……」
ゆん菜はスキップしそうな勢いで、王城への道を走っていた。
報告は家に帰ってからと思っていた。
だが、メイドたちの噂話で、優夜が一人で離宮で休んでいると聞いたのだ。
離宮なら人目を避けないでゆっくり話せる。
早く、宮廷聖女助手のことを報告しよう。
空間移動の腕輪使っちゃおうかな……。
ゆん菜はぴたっと立ち止まった。
本当は、霊石の空間移動は緊急時のためのものだ。だが、今日くらいはいいだろう。
ゆん菜は人目を避けて、茂みに潜り込むと、腕輪を外した。これに霊力を注げば、空間移動ができる。
ゆん菜はいそいそと、腕輪に霊力を注ぐ。だが、その霊力は途切れてしまった。
後ろから、誰かに腕を掴まれたからだ。腕をねじられて、ゆん菜は動けなくなる。
ナイフ使い?!
思ったが、背後にいたのはハルヴィンだった。
ひっ、と、鳥肌が立つ。ゆん菜は思い切りハルヴィンの足を踏んづける。
ハルヴィンは動じなかった。黙って、自分の霊石に霊力を注ぐ。
辺りが淡黄色の霊力に包まれた。
空間移動をするときと同じ現象だ。
気がつくと、ゆん菜はどこかの部屋にいた。
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