第5章 24話 誘宵の月伝説②

 当日は、皆が放つ霊力が、蛍の光のように飛び交うそうだ。


 ゆん菜だけ光の形を変えて星空を作ったら、街はもっときれいになるかもしれない。


 それに、誘宵の月の伝説。


 わたしも優夜先輩と参加できるだろうか。


 思うと、笑みがこぼれた。


 もし、巡り会えたら、この国で恋が永遠になる。召喚者と王子でも一緒にいていいよと、サーヴィア女神さまが味方してくれるかもしれない。


「では、また明日。マリーユナ」


 聖女に礼をいい、ゆん菜は聖女殿を出た。


 ゆん菜のまぶたの裏に、優夜の顔が浮かぶ。


 助手のことを早く報告したい。きっと喜んでくれる。


 わたし、宮廷聖女に一歩近づいたんだ。


 最近、優夜は疲れているようだ。早く、久しぶりのいいニュースを聞かせたい。


 今、彼はなにをしているだろう。


  公務がかなり忙しいらしい。


 昨夜も、一度帰ってきたあと、空間移動でお城に戻っていった。


 このごろ、そんなことが多い。


 もしかしたら、王位継承権を失わないようにがんばっているのかもしれない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る