第5章 7話 星降る夜会④
「ゆん菜とは天文部、……天文部とは、星を見る集まりです。……で、知り合ったんです」
「優夜先輩が書いた流星群の新聞があって。わたしはそれを見て天文部に入りました」
「流星群……?」
「こういうものです」
ゆん菜はプラネタリウムに流星群を映した。
「ああ、星が降る夜のことね」
「優夜先輩の新聞は、流れ星の絵が本当にきれいに描いてあって、見る度に気になっていました。この人は本当に星が好きなんだ。天文部って楽しそうだなって、わくわくしました」
優夜の新聞を見るまで、わたしは流星群を知りらなかった。
高校に入学して新しい体験にわくわくしていたわたしは、流星群を知って、もっとわくわくした。
「天文部の部員は多かったけど、星が好きなのは私とゆん菜だけでした」
優夜は学校で女子に人気があった。彼目当ての部員は大勢いたが、みな、少し経つと辞めてしまった。
「ゆん菜だけが、天文部にずっといてくれました。すごく気が合って、夢のように楽しい時間が過ごせました」
「星と共に過ごした恋なのね。まぶしいわね」
流星群、なつかしい……。
優夜と見たペルセウス座流星群が想い出された。
一緒、時間がもどったような気がした。
「そんな暮らしは、すぐに終わってしまいました。もっともっと、一緒にいたかったんですが」
「終わった? どうして? ……あなたはだから、マリーユナさんを召喚したの?」
「はい。私はゆん菜が待っていてくれるって、信じていましたから」
「また逢おうって約束したんです。わたしも、優夜先輩が絶対迎えに来てくれるって、信じていました」
「そんな相手と出逢えて、ミシュアーナは幸せね。わたくしもうれしいわ」
ゆん菜は無遠慮にリアナディーテを見つめてしまった。
うれしいといっているのに、リアナディーテは一瞬悲しそうな瞳をしたからた。
そのとき、外からバタバタと足音が聞こえてきた。
「母上ー、ミシュアーナ兄さまーっ」
そんな声が続く。幼さの残る少年の声だった。
やがて、ひょいと幕が持ち上げられ、男の子が顔を覗かせた。
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