第5章 8話 優夜の弟王子①

 少年は、輝くような金の髪をしていた。リアナディーテにそっくりな美しい髪質だ。


 大きな青い瞳。女神のようなリアナディーテに似ている。神話に出てきそうな美少年だった。


「ナノン?! またあなたは挨拶もなしに……」


「うわー、なんですか? この天幕みたいなものは。すごいですっ。ふしぎです」


 ナノンという名なら、第三王子だ。

 思っていたよりも幼い。まだ小学生くらいだ。


「星が降ってますよっ。ああ、丸い幕で夜空を再現しているんですね。おもしろいですねっ」


 ナノンは一気に、プラネタリウムに夢中になった。


「思ったとおり、おもしろい夜会ですっ。僕も参加したいです。いいですよね。母上っ」


 ナノンは甘えるように、リアナディーテのとなりにすわった。


「こちらが召喚者さん?」


 ナノンは好奇心いっぱいの目をゆん菜に向けた。


「うわー。お会いできて光栄です。はじめまして、僕はナノルールンといいます。ナノンとお呼びください」


 すわったまま、お辞儀をする。


「僕、召喚者さんが来ると聞いて、どうしても夜会に来たかったんです。本当に素敵な方ですね。かわいらしいですっ」


「ナノン、いきなり失礼ですよ」


「ああ、僕もいつか誰かを召喚したいなあ。運命の恋がしたいですっ」


「ナノンはそんなこと考えていたの?」


 優夜が目をみはる。


「はいっ。ミシュアーナ兄さまっ。実は。影ながら、ミシュアーナ兄さまを応援していました」


 ナノンはゆん菜と優夜の手を握った。

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