第5章 5話 星降る夜会②

「母上、招待ありがとうございます」


「よく来てくれたわね。うれしいわ、ミシュアーナ。マリーユナさん」


 名を呼ばれて、ゆん菜の緊張度は一気に跳ね上がる。


「初めてまして。お招きありがとうございます。王妃さま」


 なんとか、普通に言葉が出せた。


「いいのよ、堅苦しい挨拶は。あなたは、そういうことに慣れてないだろうし。友人のように気楽に行きましょう」


 彼女の雰囲気は優しさに溢れていた。


 本当に女神のようだ。ひたすら怖かった王族のイメージは全然ない。


 優しくて正しい人柄が現れていた。


「さあ、すわって」


 離宮の前の石畳に、白いテーブルと椅子が置かれていた。


「今日は星見の夜会にしようと思って。外に席を設けたのよ。あなたたちは星が好きなのよね」


 ゆん菜たちが着席すると、遠くに控えていたメイドがグラスに飲み物を注いでくれる。


 年のいった、熟練のメイドという風情だ。


 メイドは小皿になった果物も置いていった。


「これはメイメイちゃんによ」


 にっこりと微笑んで、リアナディーテはメイメイに呼びかける。


 メイメイは、恐る恐るというように、ポケットから顔を出す。リアナディーテをじっと見つめた。


 やがて、安心したように息をつくと、ゆん菜の腕を伝って小皿の前に立つ。


 実を一つ取ると頬張った。目を輝かせた。


「まあ、かわいい仔」


 リアナディーテは声を弾ませる。


「マリーユナさんは動物や植物が好きなのよね。私もよ」


「はいっ。王妃さまの庭は素敵でした。優夜先輩と一緒に造った庭園や、風毛獣の放し飼いや」


「わたくしたち、気が合うのね。うれしいわ」


 ゆん菜はうつむいてわらった。


 あんなに怖かった王族と、こんな風に話せる日が来るとは思わなかった。

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