第5章 4話 星降る夜会①

 きれい……。


 リアナディーテ王妃の離宮の前に立ったゆん菜は、思わずため息をもらす。


 離宮への道は輪を描いていて、両側には霊石で明かりが灯されている。


 離宮の前には、庭園があり、淡い色の花をつける植物が蔓を伸ばすアーチが配置よく並んでいる。


 そのアーチをくぐる白砂利の道。


 白と桃色を基調とした、繊細な造りの離宮。外壁に施された花の彫刻。


 ゆん菜と優夜は、王城でなく王妃の離宮に招かれた。


 気楽に過ごして欲しいという、王妃の配慮だ。


 庭園の木々の前に、佇んでいる女の人がいた。


 こぼれるようにたくさんの花をつけている陽乃花ひのはなの木の前だ。


 陽乃花は桜に似た木で、花びらの色は明るい黄色だ。


 女の人は、花に負けないくらいのきれいな金の髪をしていた。


 腰までの長い金髪を、赤い髪飾りで簡単に止めている。髪はきらきら光り、淡い黄色のドレスと一緒に全身を輝かせている。


 夜なのに、周りが明るく見えた。


「リアナディーテ母上」


 優夜の言葉で女の人は振り返る。ドレスの裾と一緒に金の髪がなびく。


 彼女は気品溢れる笑顔で微笑んだ。まるで女神か精霊のようだった。


 輝くように美しい。優夜の母というより姉のように見える若さだった。

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