第5章 2話 ゆん菜のドレスと優夜の正礼装②

「優夜先輩だって……」


 優夜の衣装は、白い上着にシャツだった。公務のときよりは、簡素な服装だ。


 上着は水色の糸で刺繍がされ、縁取られている。


 優夜の月色の髪によく似合っていた。サラっと、髪が水色の模様にかかる。水色の糸と重なったところだけ、優夜の髪色は変わる。色合いに目を奪われた。


 王族の優夜の姿には、まだどきどきさせられる。


 異世界でずっと、所作をしつけらたからだろう。

 元の世界の優夜とは違った仕草をする。気品があって優雅だ。


「では、参りましょう。ゆん菜姫」


 優夜はエスコートするように手を差し出す。


 ゆん菜の手を取って、ドアを開けた。


「今日はいい夜になりそうだよ」


 庭に出た優夜は、夜空を見上げる。

 よく晴れていて、空いっぱいの星が瞬いていた。


「いい月だよ。夜会に花を添えてくれそうだ」


 優夜はいつになくうれしそうだ。


 昨日の晩のことだ。


 本当に突然、王妃から招待状が届いたのだ。予想もしていなかったから、ゆん菜は本当に驚いた。


 リアナディーテ王妃が開く夜会のものだ。夜会といっても公式のものでなく、内輪での簡素なものだ。

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