第4章 16話 ゆん菜の護衛④
「ご苦労さま、カナル」
優夜はカナルの前で馬を止める。ゆん菜には軽く微笑み、また視線をカナルにもどした。
まだゆん菜のことは周りに秘密で、他人のふりをしないといけない。
優夜はゆん菜を気にも止めない体でいる。完璧に他人の顔だ。ゆん菜は少し寂しくなった。
「今日は聖女殿は午後は休みだってね」
「はい、大聖女さまのはからいで」
「みな、いつもがんばっているからね。ゆっくり羽を伸ばすといいよ」
「ミシュアーナさまは、視察ですか?」
「うん、となりの町から要請があってね」
「お気をつけて」
「ありがとう。夕方までには帰るよ」
優夜はまた馬を進め、スピードをあげて駆けていった。
「本当、素敵ね。ミシュアーナさま」
「ハルヴィンさまや第三王子のナノンさまも素敵だけど、ミシュアーナさまが一番よね」
「あのお優しさは尊いものね。月色の髪の姿は美し、優秀だし」
「ミシュアーナさまと恋をするのはどんな方かしら」
「え? でもあんなに素敵なのよ。きっと王族だから秘められているだけで、もう相手はいるわよ」
「私は違うと思うな。ミシュアーナさまにとっては国務が一番なの。だって、たくさんのお姫さまや貴族令嬢がいるのに、興味も示さないって聞いたもの」
「そこも素敵よね。ああいう方は真剣な恋しかしないのよね。いつか、運命の相手と出会うんだわ」
「……あなた、がんばりなさいよ。宮廷聖女は王太子妃になれる立場なのよ」
「わたしなんかじゃ無理よ。みんなで宮廷聖女になってがんばればいいのよ」
「きゃあ、素敵ね。誰が選ばれても祝福しましょうね」
聖女たちはきゃあきゃあと、花のようにささやき合った。
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